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不思議体験

トキオさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

景虎さんに呼ばれたカーナビ
長編 2022/04/12 14:34 2,735view

 私は史跡や城跡めぐりが好きで、コロナ前は首都圏から車でよく遠出していました。

 何年か前のこと、春分の日の連休を使って、この日は上越自動車道を使って友達と新潟に向かっていました。早朝に出て、まず川中島古戦場に立ち寄ってから、直江津で1泊し、春日山城を見学して上越自動車道を引き返す形で鮫ヶ尾城を見学する1泊2日の予定でした。

 当初は渋滞もなく順調に上越道を走って川中島古戦場を見学しましたが、カーナビがおかしくなったのは新潟に入ってからでした。
 新潟に入るとカーナビには直江津の宿→春日山城→鮫ヶ尾城の順で入力していたにも関わらず、終点の上越IC(春日山城近く)まで行かずに、手前の新井ICで降りる経路を表示していました。
 新井ICは鮫ヶ尾城の近くだったので、行き先の入力を間違えたかと思い、何度も確認しましたが、こちらは問題なし。最初に入力した時も、上越ICで降りる経路が示されていたはずでした。

 新井ICに近づくと「出口です!出口です!」とナビのアナウンスがうるさくなったので、「普段こんなにうるさく鳴ったかな?ナビの調子が悪いのかな?」と思いつつ、当日は直江津で宿泊の予定だったので、予定は変更することはできず(というより、この時点で夕方16時半を過ぎていてこれから城跡に行く時間ではない)、初めての道だったので少し不安はあったものの、新井ICでは降りずに結局ナビを無視して当初の通り新井ICを通り過ぎて走りました。

 新井ICを通り過ぎたところで、カーナビが再探索になりました。そして、なぜか並走する一般道を走っていることになっていました。
 「やっぱりバグってるな?」と思いながら、ナビをスクロールして地図上の向かう先を見ていたら、一般道経由で鮫ヶ尾城方面に向かっていました。

 そして、新井ICを過ぎて少し走ると渋滞にハマってしまい、動けなくなってしまいました。
 「現在地はどのへんだろう?」と確認すると、場所はちょうど鮫ヶ尾城の真上。ナビは「目的地につきました」などとは言わず、渋滞であることも知らせず、一切アナウンスしなくなったまま、地図上の鮫ヶ尾城の真上に止まったまま無言で動かなくなっていました。

 カーナビ上では、一般道経由で鮫ヶ尾城に到着したことになっているので、渋滞表示もアナウンスも出なかったことは納得することにして、「ここを通り過ぎればバグったナビも直るかな」などと考えながら、渋滞で止まったまま一時間近くをやり過ごしました。

 それから少しずつ動き出して車が鮫ヶ尾城から離れていくと、再度カーナビが探索状態になり、今度は正常に上越自動車道を走っている状態に戻りました。
 その後は渋滞も少しずつ解消され、問題なく走って直江津の宿まで辿り着くことができました。

 渋滞のせいで到着は2時間遅れ。
 もちろん旅館には連絡を入れていましたが、宿の人も「疲れたでしょう?」と労ってくれ、夕食のおかずのあまり?をおまけしてくれました。
 この日は、一緒に同乗していた友達と「このナビはよぽど私たちを鮫ヶ尾城に連れていきたかったんだね」などと冗談を言いながら終わりました。

 一泊した翌日、宿の人に行き先を伝えると、「時間的に道路が渋滞するから、春日山城は早めに(昼までに)切り上げて関東に帰る方が良い」、とアドバイスをもらいました。
 予定的には、春日山城は時間をかけて見学したあと、鮫ヶ尾城は「帰りにちょっと寄る」程度に考えていたので、思わぬアドバイスに私も友達もびっくりしてしまいました。どんだけ鮫ヶ尾城に連れていきたいんだよ!って。

 ちょうど、春日山城は観光客も多かっったので、一通り歩いて後にすることにしました。
 旅館の人のアドバイス通り、昼前に春日山城を出て、行きではナビがバグっていた鮫ヶ尾城へ。

 
 この時は上越道に乗らず、一般道で向かいました。
 行きの時のようにナビもバグらず、素直に鮫ヶ尾城へ到着できました。

 到着して、史跡の地図をもらいに鮫ヶ尾城の管理棟に行きました。
 ガイド?をしていた売店のおばちゃんの話を聞いていると、「昨日は景虎さんの命日だったから、たくさん人が来ていたのよ」と。ここでもまた友達とびっくりして、前日にあった話(カーナビがおかしくなって鮫ヶ尾城に向かい始めたこと、実際渋滞にハマって、ここの真上で立ち往生していたこと)などを伝えると、おばちゃんは「景虎さんに呼ばれちゃったんじゃないかしらね?」などと、軽い口調で言って笑っていました。そして「よくあるのよ」と付け加えていました。

 確かにその日は3/23で、前の日の3/22は上杉景虎が攻められて鮫ヶ尾城で自害した日でした。
 心霊現象?!なにこれ怖い!と一瞬思ったものの、山城の鮫ヶ尾城の坂道を登りながら「本当にこんなことがあるんだね」と友達と話していると、不思議と怖い感じは薄れていき、「でもなんか怖くないよね」「呼ばれて嬉しい気さえしてきた」などと話しながら鮫ヶ尾城を後にしました。

 後日このことを別の友達に話すと、「怖い!」「戦国武将の亡霊やばい!」「そのうち事故るよ!」などと言われましたが、実際は怖い感じはなかったし、渋滞にはハマるものの直江津の宿でおまけしてくれたし、事故などは起こさず無事に帰宅することができたし、帰路は横川SAで釜飯の最後の1つをGETすることができたので、むしろパワースポット的な何かではないかと今でも思ってます。

 不思議な経験にあうようになったのは実はこの時からで、それまで史跡や城跡、古戦場に行くことはあっても特に何も起きなかったのですが、新潟での一件があってからは、たびたびカーナビがおかしくなるようになりました。それも史跡に行く時だけ。

 行き先がバグって、それに従って走ると行く予定がなかった城跡の周辺をぐるぐる回ることになったり、目的地の古戦場に着くとナビが固まってしまい一切操作できなくなるなど(しばらく走っていたら直った)が起きるようになりました。もちろん、怪我や事故とは無縁です。

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