介護職時代に経験した心霊体験
投稿者:みどろ (3)
私は介護職の仕事をしていた約20年くらい前から霊感のようなものが出てきました。
当時勤務していた施設は築30年程度の比較的古めの建物であり、すでに長年勤務している先輩職員たちによれば心霊現象が後を絶たないということでした。
その施設に勤務し、夜勤業務に入るようになってから私はいくつかの心霊体験をしました。
いずれもその場にいるはずのない人を見るといった現象で、中には同じ心霊現象を別の日に同じ場所で同じ時間帯に体験した人もおり、この施設内で心霊現象が起きていることは間違いないのだと思いました。
このように施設で働くようになってから見た心霊現象はそのほとんどが何かを見たというものでしたが、姿が見えなくても異変を感じ、その理由が後々わかるといった不思議な現象に遭遇することもありました。
私が勤務していた施設は要介護1から5までの高齢者が居住しており、階ごとに要介護1から2程度の比較的自分でできることが多く、一人で歩いたり車いすで自力での移動が可能だという人がほとんどを占めるところ、重度の認知症で徘徊のリスクがある人がいるところ、そして要介護5とほぼ寝たきりの人が入居するところに分かれていました。
私はその施設で勤務した2年間のうちのほとんどを寝たきりの人が居住しているところで勤務していたのですが、要介護5ということで寝たきりで意識がほぼなく、食事が摂れずに胃ろうや経鼻栄養をしている人もいました。そのような人は高齢ではありますが、他の人と比較するとより亡くなるリスクが高くなっているということです。
入所する人が亡くなった場合、その処置や家族への対応などで時間を取ることになり、職員の中には寝たきりの人が多いところでの勤務を嫌がる人もいました。
その上心霊現象自体はこの階が最も多く目撃されていたことから、この階への異動が決まるとすぐに退職する人もいましたし、実際に心霊現象に遭遇してから恐ろしさのあまり来なくなった職員も何人かいました。
私も就業当時こそ別の階で勤務していたのですが、すぐに退職による欠員が出たということでその階に異動を命じられました。
私も本当は異動したくなかったのですが、当時は未曽有の不景気で大学時代100社以上の就活を行っても内定を1つも取れないまま卒業した私にとっては介護は正規雇用で採用される数少ない職だったので致し方なく働いていました。
この階に異動して以降私は多数の心霊現象を目撃したのですが、唯一姿の見えない心霊現象というものを体験したのがその階で勤務するようになってから1年半ほど経過した時のことでした。
その階には複数の部屋があり、だいたい4名一室ですが、そのうちのナースステーションに近い一室は胃ろうや経鼻栄養でいつ容態が急変するかわからない人が入っていました。
入居する人たちは皆意識はない状態でしたが、他の入居者で認知症から暴力を振るわれたり徘徊して転倒し、事故報告書を書いて上司に叱られなければいけない状態になることを考えると、職員の中には寝たきりの人の介護は楽だと歓迎する人もいました。
そのような寝たきりの人たちの介護は、栄養摂取に関しては看護師が全て担当しており、食事介助をすることもないのでおむつ交換をし、週に2回ほど入浴介助を行うだけで、その人たちが居室から移動する機会はそうありませんでした。
私自身も介護する機会がそう多くないのでたまにしかその居室に入らなかったのですが、ある時その居室に入ると何か異変を感じました。
部屋には芳香剤など置いておらず、せいぜいおむつ交換の時の糞尿のにおいか経管栄養の栄養剤のにおいしかしなかったのが、その日に限ってはなぜか線香のような香りがしたのです。
その居室には看護師が頻繁に出入りするのですが、看護師は全くそのことに気づいていなかったようですし、おむつ交換で入室した別の職員も何も言っていませんでした。
いつもあんなにおいがしていただろうかと思って疑問を持っていましたが、その数日後驚くべきことがありました。
その居室に長年入っていた経鼻栄養90代高齢者が亡くなったのです。
数日前の線香の香りの件とあわせると、これは偶然なのかそれともその人の死を察知したのかわかりませんでした。
そのことを別の複数の職員に話をしたのですが、さすがにそのような経験をした人はおらず、その部屋の入居者の誰かの洗濯物のにおいではとか、部屋の外から偶然入ってきたのではとか言われましたし、単なる思い違いだろうとか私はうそつきだという人までいました。
たった1回のことであれば私の思い違いであるかもしれないと思い、その後ほどなくして私はその職場を退職することになりました。
次に働いた職場は子どもたちを預かる福祉施設で高齢者の介護を行うところではなく、非常勤で夜勤もなかったのでもう心霊現象に遭うこともないだろうと思っていました。
確かにその施設はまだ建てられて2年も経過しておらず、命が危険な人もいなかったことからそれまでの心霊現象をすっかり忘れていました。
しかしある日また驚くべきことが起きます。
その施設に居住する人向けにおやつのリンゴを切っていたのですが、そのリンゴの香りがなぜかあの時の線香の香りがする、と思いました。
しかしここには主に子どもしかおらず前のような状況ではないと思い、さすがに偶然だと思いました。
しかしそれは偶然ではなかったようで、その翌日に学生時代の友達から連絡があり、2人の共通の知人でお世話になっていた50代後半の女性が亡くなったという報告を受けました。
その女性は1年ほど前から病に伏していたのですが、それほど深刻な状況であるとは知らずにいました。
俺はコロナにかかって以来、ずいぶん長い間、嗅覚障害に悩まされている。天ぷら、唐揚げ、トンカツ、フライドポテトに至るまで、あんなに好きだった揚げ物が一切食えなくなった。鼻先まで近付くだけでガソリン臭がする。不思議だ。