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心霊

津々さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

山の慰霊碑で悪ふざけ
長編 2022/03/15 12:53 1,650view

僕が今から話すことは、高校1年生の時に本当に起こった話です。

入学間もなかった僕たちが高校生で最初の行事、宿泊研修に行った時の話です。当時の僕たちの高校ではド田舎の青少年の家と言われる宿泊施設に1泊2日することになっていました。僕たちは高校最初のイベントという事もありはしゃいでいました。今に思えばはしゃぎ過ぎていたのかもしれません。

宿泊施設について間もなく、荷物を各自の部屋に置いて早速ハイキングに行く予定になっていました。ハイキングと言っても軽い登山で往復4時間もかかる工程でした。それでも、若さだったのかすべてが楽しく、新しくできた友達と話しながら歩いているとあっという間に半分は過ぎていました。

すると友達があることに気付きました。それは「この登山道、なんかお地蔵さん多くね?」と僕たちに聞いてきました。僕たちは気にもしていなかったので、「そうかな?」と答えましたが、そういわれるとよく目につくようになりました。今まであまり会話に参加していなかったクラスメイトが急に僕たちに「お地蔵さんがあるところって子供が死んでるって言うよね」と話しだしました。
その事を聞いた僕たちは「そんな気味の悪いこというなよ」と言いました。

すると先頭の方で騒がしい声が聞こえてきました。
僕たちはクラスメイトの発言をなかったことにするように先頭まで走りました。そこには、この山で亡くなった方々の慰霊碑が奉られていました。しかも、真新しい花も手向けられていて、僕は「本当にここで沢山の人が死んでるんだ」と思いなんだか怖くなったのを覚えています。

しかしそんな僕がそんな気持ちになっているのを知らない同部屋のクラスメイトはその“花”を手に持ち、違う友達に「結婚してください」などと花を使って遊び出しました。僕はその光景を見て、「やめろって!」と友達を止めましたが、聞く耳をもっておらず「盛り下がるからどっか行け」と言われてしまいました。僕は高校に入り新しい友達が出来て楽しい高校生活を想像していたのにクラスの中心的な人物にノリの悪いやつと思われてしまいなんだか悲しい気持ちでした。

その後、特に悪い事も起こらず宿泊施設にもとってきました。なので僕の気持ちは(あのノリに付き合っとけばよかった)と思いながらお風呂の準備をしていました。僕が止めに入って以来、友達は僕に話を振ってくれなくなりただ聞いているだけの時間が何だか耐えられなくなりお風呂から上がり晩御飯を食べてすぐに寝る事にしました。

すると友達は僕が布団に入って間もなく、「○○ってノリ本当に悪いな」と僕のことをバカにし始めました。しかしこの上下関係をどうしようもなく僕は寝たふりをしていました。寝たふりに気付いているのか友達は暴言や悪口をやめません。その悪口は僕だけじゃなく家族にまで向けられてついに僕はキレました。

「そこまでいうことないだろ!!」

気持ちは布団を跳ね上げ大きい声で友達を怒鳴りつけていました。
しかし実際は、体が動かないのです。もちろん声も出ないし目も開きません。
ただ悪口や暴言は止まる事はなくどんどん聞こえてきます。この状況に理解が追い付かずただわかったことは、金縛りにあっているという事でした。

そしてずっと聞こえている悪口も、最初のノリが悪いよなってこと以外、僕の事ではないようなことを話していました。残念ながら何を言われていたのか覚えていません。

すると僕は、あの時の嫌な気持ちを思い出してきました。そうです、登山道で感じた怖い気持ちです。だんだん怖い気持ちに心が支配される感覚に陥り「目だけでも開け」と体全体を使ってもがきました。

すると僕は、ガバッと起き上がることに成功しましたが、周りにいた友達が「ビックリした~」と大きな声を出しました。僕は先程までの事を友達に話しました。すると友達から帰ってきた声は意外な物でした。

登山から戻りお風呂に入る頃、友達の話では僕の顔色が異常に悪く話しかけれる状態ではなかったそうです。で、私が聞いた「ノリが悪いよな」って話も「顔色が悪いよな」って話をしていて静かに寝かしてやろうと友達たちも静かに話をしていたそうです。そしたら僕が、奇声を上げて跳ね起きたそうでみんなはビックリしたそうなのです。

僕と友達たちの話は少しずつ噛み合いませんでしたが、僕が友達に嫌われたわけじゃないという事だけでもわかったのでとても安心しました。その後、見回りに来た先生に一応、事の経緯を説明して(金縛りや謎の声)部屋を変えたいと言ったのですが、却下されそのまま寝る事になりました。

どれぐらい時間が経ったでしょう。僕の周りでまた話し声が聞こえてきました。
それはあの時と同じような事を話していました。僕は「これは絶対に幽霊だ」と直感的に思い、逃げ出そうとしましたがやはり金縛りにあっていました。しかし先程と違うところがありました。それは目が開いている事です。

そして同じ日に2回目の金縛りという事もあってか、怖さより好奇心のほうが勝ってしまい声のする方を目で追ってしまいました。よく声を聞けば全然友達の声ではなく大人っぽい声でした。僕の中ではお化けの正体を知りたくなってしまい、声のする方を見回していると微妙に顔にかかっていた布団がズレて男の声の方を見る事ができました。

見なければよかったと後悔しました。
そこには、顔がぐちゃぐちゃに潰れて血だらけの男が立っていました。そしてその時わかったことがあります。それは男が何を話していたのかを覚えていないのではなく、ちゃんと聞き取れていなかったという事です。なぜそう思ったか、男の顔、特に口周りを中心に酷い有様だったからです。そして男が口を動かすたびに、血が垂れ「あぅあぅがー」のような言葉を発していました。

そして男は少しずつ僕の方に寄ってきていました。目が見えないのか両手を前に突き出してまるで何かを探すような素振りでだんだん僕に近付いてくるのです。この時、好奇心は恐怖心に負けました。前回同様に、体をくねらせるようにもがきました。しかし、もがけばもがくほど男は近づくスピードが速くなっている感じがして、声にならないような声で叫びました。

すると僕は、布団からガバッっと起き上がる事ができました。あまりの体験に茫然としながら周りを見渡すと全員(自分も含め4人)が、上半身を起こして「はぁはぁ」と息が上がっていました。そして間もなく、担任の先生が「どうした!?」と部屋に入ってきました。僕たちは先生の問いに答える事は出来ず、「はっ?」って感じでした。

少し落ち着いてから担任の先生が話してくれました。先生が各部屋の見回りのために廊下に座っていると、僕たちの部屋から突然叫び声が聞こえたそうです。それも複数人の叫び声だったそうです。なので先生は、「何かあったな」と思い部屋に入ってきたそうです。

僕たちは、ここまで話を聞き自分たちに起きた事を一人ずつ話しました。まずは僕から話をすると、他の3人が「え?俺も同じなんだけど」というのです。共通点は金縛りと顔の潰れた男でした。なので4人同時に金縛りから解け奇声を上げて起き上がったという事で廊下に居た先生は複数人の叫び声を聞いたんだと思います。

この現象は慰霊碑で悪ふざけをした僕たちだから起きたものと思いましたが、同じ夜に他のクラスの女子の部屋でも同じことが起きていたそうです。この女子たちは慰霊碑の所で悪ふざけはしていません。なので原因は分かりませんが、人が無念の内に亡くなったようなところではこのような事が起こると思った方がいいかもしれません。

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