嫁と姑

隣の家の家族、いわゆる嫁姑問題だったようだ。
自分は当時、小学生だったので全く気づいてなかった。
あとから母に聞いた話だと、母は頻繁に姑さんから嫁さんの悪口を聞かされていたようだった。
嫁さんはキャリアウーマンだった。
キリッとした眼鏡で細身、いかにもという感じ。
だから毎日、日中は不在だった。
旦那さんは優しそうな人で、自動車メーカーのエンジニアだった。息子は私より２つ年下で悪ガキだったが、かわいらしく、時々、野球などして遊んだりしていた。

私が中１になりたての春、姑さんがご自宅で亡くなった。癌だったようだ。最後は家族で看取ったようだ。その夜、

「っやぁあああああぁぁ〜」という声が外まで聞こえたと近所の人たちが言っていた。

お葬式もご自宅で行われ、私も参列した。
さすがの奥さんも肩を揺らして嗚咽しながら悲しんでいたと、近所の皆さんは話していて、できた嫁さんだと言っていたようだ。

私は気づいていた。

夜、私は外で素振りをしていて、間近で聞こえた声は
「よっっしゃあああああぁぁ〜！」
だったし、

葬式の時、嫁さんは必死に笑いをこらえていた。