巨大な鬼の顔が通過した日
投稿者:おつまみ (20)
私の兄と弟は20代の時東京で就職したので、同居をしていました。私は地元の大学だったので、夏休みは長期で兄たちのアパートに滞在し、都会を楽しんでいました。
部屋の間取りは1LDKで、3階に住んでいました。リビングからすぐベランダへ出ることが可能で、ベランダが縦長にとても広く、洗濯物も広々と干せる環境でした。
滞在して少し経ったある日のこと、その日は天気が良く、気持ちの良い朝でした。弟は朝から洗濯物を干してくれていました。兄も気分が良いのか、リビングでDJをしながら音楽を楽しんでいました。私はとても心地が良く、ソファに座ってゴロゴロ状態。のんびりとした止まったような時間が流れていました。
気持ちよく寝ていると、突然洗濯物を干していた弟が、ベランダから勢い良く走ってきました。「逃げろ~!!何か来る!!!」大声で弟が叫びました。弟はベランダの窓を慌てて閉め、鍵をかけました。
その瞬間、何か得体のしれないものが、まるで電車が一気に通るような感じで西の方へ向かって通過したのです。窓がガタガタと大きく響き、窓を見ていると、ものすごい速さで何かが確かに通り過ぎていきました。DJをしていたターンテーブルのレコードがすごい勢いでグルグル回っています。私たちは何が通っているのかわからない状況でしたが、とてつもない恐怖感でいっぱいでした。何か良くないようなものが通っているという雰囲気はありました。
どのくらいの時間だったのか。通り過ぎた後も私たちはぼーっとしていました。しばらくして、弟が「助かった」と言いました。一体何があったのか、私も兄も意味がわからず弟に聞いてみました。
ベランダで洗濯物を干していると、何か恐ろしい気の塊のようなものがこちらに向かってくるのを感じたらしく、とっさに何か危険だと思ったみたいです。その気の塊が近づいて来た時、すごい形相の巨大な鬼のような顔が見え、その後ろに同じような顔が連なっているのが見えたそうです。恐ろしくなり、必死で部屋に逃げてきた、とのことでした。あまりに現実離れした話に私も兄も、受け入れるまで時間がかかりましたが、実際に何か通ったのも、レコードがグルグルまわったのも、恐ろしい気を感じたのも事実なので、弟の言うことが嘘だとは思いませんでした。
部屋の前を通ったのは何だったんだろう。巨大な鬼の顔って…弟は顔だけが浮いている感じですごい数だったと話していました。
少し時間が経って、窓を開け、ベランダに行ってみました。弟が干していた洗濯物がハンガーから外れ散乱していたので、やっぱり何か勢いよく通ったんだなと確信しました。洗濯物のまわりには何故かさっきまで落ちていなかった落ち葉が沢山落ちており、夏なのに、落ち葉?その鬼の顔が落ち葉を一緒に持ってきたのだろうか。鬼の顔はどこから来たんだろう。私たちだけが感じることが出来たのだろうか。
未だに謎が多く残りますが、そんな出来事があり、普段目に見えないもを信じるようになりました。
霊道?とは違うのかな