バンバンバンッ
投稿者:だれパンダ (31)
短編
2022/03/09
12:29
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私が中学生の時に実際体験した出来事です。
当時、通学路に一軒の家がありました。見た目は何の変哲もない平屋建ての民家ですが、昼でもカーテンが閉め切られているのが不思議といえば不思議です。
その日寝坊した私は、今から急いでもどうせ間に合わないしと開き直ってとぼとぼ道を歩いていました。
やがて例の家にさしかかった時、突然バンッ!と大きな音が響き渡りました。
びっくりして音の出所に向き直り、固まりました。窓に太った中年のおばさんが張り付いているのです。
おばさんは両手を一杯に広げてバンバンバンッと窓を叩いています。とても恐ろしい顔をしていたような気もしますが、感情が鈍磨した無表情だったかもしれません。通りすがりの中学生を脅かして楽しんでいるとしたら悪趣味です。
しかし……どんより濁った窓越しの眼を見るなり、そんな疑惑はどこかに消し飛んでしまいました。
金縛りが解けるなり走り出した私の背後で、再びバンバンバンッとあの音が鳴りました。おばさんが平手で窓を叩きまくっているのです。
あれ以来、例の家に人がいるのを見たことはありません。
心を病んでいた方だったのかもしれませんが……彼女は私に何を伝えようとしていたのでしょうか。
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「助けて…」の合図だったりして