顔の答え合わせ
投稿者:ぞい (15)
短編
2022/02/24
20:44
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看護学校で解剖実習ってあるんですよね。
まあ、看護学生が解剖するんじゃなくて、医学生が解剖したものを看護学生が実際に手にして人体の構造を学習するんですよ。
理科室みたいな長テーブルが沢山あるだだっ広い部屋に、テーブル毎に2、3体の解剖された人体が置いてあって、5人くらいにグループ分けして、ホルマリン浸けされた解剖人体を手に取るんです。
解剖された遺体ってホルマリン浸けになっているんですが、なんというか、紫ががった灰色みたいな色をしていて、ディスポーブル(使い捨て)手袋越しにゴムみたいな感触が伝わってくるんです。
ホルマリンの臭いが結構するんで、女子数人がその臭いで気分が悪くなってしゃがみこんだり、退室したりしてましたね。
それで頭部や各臓器や手足なんかの各パーツに解剖された人体を見ていくんですが、大腿部から爪先までのいわゆる「脚」が以外に重かったりして驚きました。
頭も見事に半分になっていて、それが2、3体分なんで、「こっちの顔はこれかな?」みたいなパズルみたいにして当てはめていた時に、気がついたんです。
「あ、この顔……」
当時精神科病院に勤めながら看護学校に通ってたんですが、何日か前に亡くなった患者さんだったんです。
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怖いというより切ないですね。
そういったことを乗り越えて従事されている医療関係の方には頭があがりません。
献体は自らの意思で行われることだからね。
その患者さんは医学のために身を捧げてくれたんだよ。
怖いとか悲しいではなく立派で誇り高い行為だから感謝しなくては。