ある小説投稿サイトでの体験

私はまこものペンネームでネット小説を書き投稿しています。ジャンルは主にホラーで、ヒトコワ系の題材を扱っていました。

滅多に感想などもらえない為完全に自己満足でアップしていたのですが、ある時コメントが一件付きました。

「感想かな？」

ドキドキしながらコメント欄を開いたものの、そこに書かれていたのは思いもよらない内容でした。

「なんで私たちの秘密を知ってるんですか？どうやって知ったんですか？名誉棄損とプライバシー侵害で訴えますよ」

ハンドルネームは「まこも被害者の会の代表」……彼、あるいは彼女は私が書いたネット小説の主人公が自分だと思い込んでいるのです。

ちなみにその小説は中学時代のクラスメイトを執拗にいじめた末自殺に追い込んだ元いじめっ子たちが主人公で、彼等が疑心暗鬼に陥り、身を滅ぼしていくサイコホラーでした。

正直面倒くさいなと思いましたが、私はこの小説が完全オリジナルであること、変な言いがかりはよしてほしいと返信しました。

すると今度は一日十件、あるいは二十件と書き込みが増えていきます。どれも私の人格を攻撃し、小説の掲載を取り止めなければ運営に通報する、あるいは訴訟を起こすと抗議を申し立てていました。

さすがに辟易してコメント欄を閉じた一か月後、マンションの17階から女性が飛び下りたニュースを見ました。
ある匿名の掲示板曰く、遺書には一言こう書かれていたそうです。

「まこもに殺された。これから復讐に行く」

結局誰もその意味がわからず、彼女の死はただの自殺で片付けられました。