止まらないタクシー
投稿者:誠二 (20)
短編
2022/02/15
13:02
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先日飲み会帰りに体験した出来事です。
その夜遅くまで飲んでいた私は終電を逃し、五駅離れたアパートまで仕方なく歩いて帰っていました。
どうにかタクシーを捕まえられないかと思ったものの街はすっかり寝静まっており、人っ子一人出歩いていません。
自分の不運を呪って舌打ちした時、後ろから車の走行音が近付いてきました。
反射的に振り返ればタクシーが迫っており、地獄に仏と喜んで片手を挙げました。
「おーい、止まってくれ!」
しかしタクシーは私を無視して走り去り、あっけにとられました。
「畜生!」
素通りされた事に腹を立て、大股に歩き出した矢先にまたライトがさしてきました。
「えっ?」
振り返った瞬間、凍り付きました。先ほど走り去ったのと寸分違わず同じタクシーが近付いてきたのです。
どういうことか混乱しきって立ち尽くす俺をよそに、その後も同じタクシーが素通りしていきます。
「うわああああ!」
どうやって家に帰ったかは覚えていません。気付けば布団を被り、一睡もせず震えていました。
後日……タクシーがループしていた道で数年前に事故があり、タクシー運転手が一人死亡していた事を知りました。
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