最悪な修学旅行

私が高校2年生の時の話です。高校２年生と言えば一大イベントと言っても過言ではない、「修学旅行」があります。当然、私たちも楽しみにしていて自首研修のプランや宿泊先などで何をして遊ぶかを考えていました。私は、何をするか、どこに行くか、を考えている時間さえ楽しく、本当に楽しみにしていました。

修学旅行が近づくにつれ、班が決まり、巡る先が決まっていき、いよいよ当日を迎えました。

１日目は、クラスで天ヶ瀬ダム、貴船神社、清水寺、など神社・仏閣を中心に巡りました。なぜなら、私の高校は普通科の他にいわゆる「宗教クラス」があるからです。
普通科の私たちにしてみれば、神社・仏閣は興味のない所でしたが、アニメ、ゲーム、映画、などで新選組や戦国時代が流行っていて、みんな楽しんでいました。

しかし、貴船神社に到着し境内などを散策していると社の後ろで男子たちがザワついていました。
私たちが見に行ってみると、そこにいた男子の手には錆び付いた古い釘がありました。もちろん、何に使った釘なのか、すぐにわかりました。絶対に『丑の刻参り』に使ったものです。

普段なら気味が悪いので誰もが近寄らないと思うのですが、修学旅行という事もあり、テンションが高く「他に釘を探す人」、「釘を投げて遊ぶ人」、「藁人形を見つけようとする人」でふざけていました。
その後、添乗員さんが貴船神社の説明や集合写真を撮りバスに戻りました。

その時は、何事もなかったのですがバスに戻りみんなで丑の刻参りの話をしていると、最初に釘を見つけた男子の手に切り傷が出来ていて、周りにいた男子たちは「呪いだー」と騒いでいました。

次に向かったのは、天ヶ瀬ダムで大した思い出はありませんが、「Ｋｅｅｐ　ｏｕｔ」と書かれた警察の黄色いテープが張られていたのを覚えています。

まだ、色々なところを巡りましたが、記憶に残っていません。
ただ、移動中に男子たちが「なんか呪われてね？」と言っていたのが印象的で覚えています。

宿泊先の旅館に着き部屋でくつろぎながら、スマホで取った写真を同室の友達と見ていると、友達が突然「キャー」と叫びました。
何事かと思い私たちは「どうしたの？」と聞くと、貴船神社で撮った写真に赤い閃光やモヤがかかった写真がたくさん撮れていました。

翌日、集合していると、他の班の人たちも同じような写真が撮れたと話題になっていました。また、手にケガをした男子は夜中に高熱が出て病院に搬送されたとウワサになっていました。

２日目は自主研修だったので、他の班の友達と一緒に新選組や刀剣などのゆかりの地を巡りました。
首塚大明神、三条橋、清明神社、などを巡りました。首塚大明神では「酒呑童子」の首が眠っているとか、三条橋は池田谷事件の時に新選組が付けた刀傷があるとか、私たちは前日の気味の悪い事は忘れ楽しく観光していました。

そして、２日目の宿泊先は、宿坊でした。宿坊とは「お坊さんを体験できる宿」みたいな所で、宿になる前は本当にお寺だったそうです。
その宿坊は、改装もされておらず寂れた感じで寝る部屋も男子と女子が別れ３０人で１部屋みたいな雑魚寝スタイルでした。

それでも、人数が増えるとベタな枕投げや恋バナなどをして楽しんでいましたが、当日撮った写真をチェックしているとまた心霊写真がたくさん撮れている事がわかりました。

心霊写真を撮っているのはやはり女子だけではなく男子も撮っていてグループ通話をしながら盛り上がりました。すると、自然に怖い話大会になり「わーきゃー」と盛り上がり、翌日に供え割と早めに寝たのを覚えています。

しかし、深夜に私はトイレに行きたくなり目を覚ましました。
怖い話や心霊写真をたくさん撮ったせいか、どうしても一人でトイレに行きたくなく、隣で寝ている友人を起こしたのですがどうしても起きてくれませんでした。

しかし、私は必死にいろんな人を起こしました。理由は、トイレが昔のままで「外厠（そとかわや）」というもので、一度外に出てボロボロの小屋の様な所に行かなければならないからです。

私は、幽霊を信じていなかったのですが、この２日でなんか気味が悪い事が立て続いたので本当に恐怖を感じていました。
しかし、お漏らしをするわけにもいかないので、部屋を出る間際までクラスメイトを起こしながら歩きました。

残念ながら誰も起きず、私は少し小走りで厠に行き小走りで部屋に戻ろうとした時でした。厠の周りは気が生い茂っていたのですが、「ガサ、ガサッ」と誰かがいる気配がしました。

私は、恐怖心で心臓が「ギュッ」としましたが、音のした方を凝視していると、やはり人がいるように見えました。

私は、「人がいた」という安心感から、音のした方に近付いてしまいました。
私は、「誰？」と小声でしたが声を書けましたが、相手は返事をせず木に向かって立ってました。