死を告げるDVD
投稿者:くまふくろう (3)
これは、友達から聞いた話。
友人――仮にAと呼ぶことにする。
Aは小学生の時、友人3人と一緒にDVD鑑賞会をしたことがあるらしい。
友人の一人が兄からDVDを借りてきて、アニメやらホラーやら。
多少、趣味は偏ってはいたものの、Aたちは楽しく鑑賞していたんだとか。
「次は何を観ようか」
なんてはしゃぎながら手に取った1枚が、何とも奇妙なモノだったとAは言う。
30秒くらい――いや、ひょっとしたらもっと長かったかもしれないし、短かったかもしれないが、Aはあまり覚えていないらしい――のごくごく短いDVDだった。
モノクロの画面いっぱいに、女のバストアップ。
女はひたすらに笑っていた。
けたけた、ゲラゲラと何がおかしいのか身をよじり、髪を振り乱して笑う。笑う。
「なにこれ、気持ち悪いね」
思わず呟いたAに、友人たちも賛同する。
DVDを止めた友人――Bと呼ぶことにする――がぽつりとこぼした一言に、Aは違和感を覚えた。
「なんでこっちを指さして泣いてたんだろう」
泣く? 女は確かに笑っていたのに?
怪訝に思ったAが「さっきの女の人、笑ってたよね?」と聞くと、他の友人2人はうんうんと頷くが、Bだけは「え? 号泣してたじゃん。指さして」ときょとん顔。
なんとなく気まずく、また他のDVDに手を出す気にもなれなかったため、Aたちは鑑賞会を切り上げ、それぞれ帰途についた。
数日後、Aは「Bちゃんの父親、死んだらしいよ」という話を聞くこととなった。
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