古く風情のある海沿いの旅館で…
投稿者:Jacob (7)
夫との旅行先での出来事です。
秋の連休に、急に旅行に行くことになり、海の幸を満喫しようと海沿いの旅館を予約しました。
結婚したばかりで新婚旅行の旅費を貯めていたので、なるべく予算を抑え、でも雰囲気のいい食事の美味しそうな旅館を、あまり調べずにネットでさっと検索をして予約しました。
旅行の当日はよく晴れて、観光も楽しみ、予約していた旅館に着きました。小さな宿でしたが、近くに小さな島と港のある雰囲気のいい場所で、古いけれど、とても風情のある旅館でした。
「値段の割にいい宿が取れたね」と、夫も満足そうでした。入ってすぐの受付で、チェックインの手続きを済ませ部屋を案内してもらいました。
通されたお部屋は、海が見える眺めのいい広いお部屋でした。
和室にベッドが置いてある和洋室で、「わー素敵!」と外を眺めて、荷物を置きつつふと見ると、ベッドのシーツに真っ赤な血痕のようなシミが付いているのが見えました。点々とした鮮血のような赤いシミに、つい「キャー」と声を出してしまいました。
ハッとして案内の方を見ると、一瞬凍りついたような顔になり「少々お待ちくださいませ、申し訳ございません」と青い顔をして、部屋を急いで出て行きました。
すぐに番頭さんのような方と女将さんを連れて戻ってきて、赤い血痕のようなものを確認し、何やら神妙な面持ちでヒソヒソと相談をしていました。
そして「大変申し訳ございませんでした。別のお部屋にご案内いたします」と、少し離れた別のお部屋に通されました。
そこはベッドがないけれど、同じく海の見える広めの和室のお部屋でした。
一連の出来事に少し驚きはしたものの、楽しい旅行を満喫しようと、近くを散歩したり、温泉に入ったりとその日は楽しく過ごしました。
お食事のお鍋も美味しく、海の幸もたっぷり満喫できて、すっかりいい気分で眠りにつきました。
夜中、ぐっすり眠っていると、隣で寝ていた夫が急に苦しそうにうめき出しました。
「大丈夫?」と聞くと、「お腹が…」と、夫はトイレへ駆け込んで行きました。食あたりのようでした。鍋に入れた牡蠣にあたったようです。
何度も何度もトイレに行く夫を心配しながらも、少し経つと夫も落ち着いたようだったので、また眠ってしまいました。
夜中、うなされるような夫の声に何度か目が覚め「大丈夫?」と声をかけつつ朝を迎えました。
「大変だったね」と、観光もそこそこに、家に帰ることにしました。
帰る途中の車の中で、夫が急に深刻な顔をして言いました。
「あそこのトイレ、落ち武者がいた。吐いてるときに顔を上げたら、トイレの上からこっちをずっと見ていた」と。
シーツの血の跡といい落ち武者といい、女将さんと番頭さんの様子も少し奇妙で、とても不思議な宿でした。
そんなことがあってから、宿の予約を取るときは、口コミなどもしっかり確認してから予約をするようにしています。
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