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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

墓参りから憑いてきた・・・?
長編 2021/11/15 22:10 2,123view

しかし、おじいちゃんは明るく返事した私の返事に被るように「墓参りにきてくれるか?」と言いました。
私がもう一度答えようとすると、「墓参りにきてくれるか?」ともう一度聞かれます。

その後、壊れたおもちゃのように「墓参りにきてくれるか?」と何度も聞かれ、私はぞっとしました。なんだか墓参りに来なかったことを責められているように感じました。

翌朝も肩こりが本当に酷くて、夢のせいで寝ざめも悪くて最悪なコンディションで仕事に行きました。夢のせいでぐっすり眠れなかったこともあり、疲労困憊のような状態でした。

私の不調さを心配してくれる同僚も中にはいましたが、大抵の人はすごく冷たい目でこちらを見ていました。職場の先輩からは「昨日はまるまる休みだったのにね」と嫌味を言われ、心が痛かったです。

そんなときに職員の一人がおかしなことを私に言いました。
「おじいちゃん来てるよ」て言うのです。なんでも私のおじいちゃんだと名乗る人に声をかけられ、私を探していたんだそうです。

私はちょっと気持ち悪くなりました。なぜなら私のおじいちゃんは父方もそしてこの前お墓参りに行った母方も亡くなっています。おじいちゃんが来られるわけがないのです。
一応目撃したという車の近くに行ってみましたが、当然のように誰もおらず私は新手の嫌がらせかと思いました。

ただ翌日も、その翌日も同じようなことがあったんです。
職場の人だけなら嫌がらせで済ませられるかもしれないけど、それが職場内に留まらず、ご近所さんに「この前一緒に歩いていたおじいさん」と言われ、さすがにぞぞぞっと寒気がしました。私のおじいちゃんは亡くなっているといっても、「やーねぇ」とみんなまったく取り合ってくれないのも怖かったです。

私は母や彼氏のこの出来事を相談しました。最初は信じてくれなかったのですが、私が何度も同じ話をすると、次第に話を聞いてくれるようになり、「お祓いに行こうか」と言ってくれました。

おじいちゃんの幽霊を目撃した人が何人もいる職場では、私がノイローゼ気味になっているのを心配してくれる職員の態度が少し優しくなり、助けてくれるようになりました。
それに事務長が変な噂と私の状態を心配してくれて、残業をしばらく休みにしてくれました。奇妙なことが立て続けに起こり、怖い思いはしていたけれど、不思議なことに私を取り巻く環境は明らかに良くなっていったのです。

お墓参りに行って、11日目のことです。
私がゴミ出しをしている途中で、ふと見たアパートの前の道にあるカーブミラーでおじいちゃんを見つけました。こっちに手を振っている老人をふと見ると、亡くなったおじいちゃんでした。

最初はびっくりしすぎて声も出なかったですが、数秒私の前に現れたおじいちゃんは生前と変わらないすごく優しそうな顔でこっちに手を振っていました。
私が手を振り返すと、なんだか「ふぉっふぉっ」と特有の笑い方が聞こえそうなくらい満足そうに笑い、ぼぉっとぼやのようになって消えました。

直後は朝っぱらから白昼夢かと自分が心配になりましたが、きっとあれは本当におじいちゃんだったんだと思います。その日を境に、私のあれだけ酷かった肩凝りが消え失せ、私の周りで「おじいちゃんを見た」という目撃情報は聞かなくなりましたから。

もしかしたらおじいちゃんはお墓参りに来た私があまりに疲れ切っているので、心配して憑いてきてくれたのかもしれません。生前は辛いことがあったらおじいちゃんが笑かしてくれて、元気にしてくれました。
そんなおじいちゃんは亡くなった今でも孫が心配で仕方なかったのかもしれません。

私はこの幽霊騒動をきっかけに職場に居場所ができ、そして家族や彼氏との穴も埋められました。今考えるとすべておじいちゃんのおかげで丸く納まりました。久しぶりに見たおじいちゃんの笑顔を見て、仕事はもう少し頑張ってみようと思いました。

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