深夜のビル警備員「5階のアレ」
投稿者:陶芸参謀 (37)
ああ、この人たちがこっちに声をかけていたのか…と納得したF君は、問題なしと部屋を出ることにしました。
しかし、なぜこっちに手を振っていたのか?
その意味はあまり深く考えないようにしました。
F君は管理人室に戻り、Wさんにその話を報告しました。
するとWさんは青ざめた顔をして「マジか…お前も何か見たのか…」と言いました。
どうやら過去に辞めて行った同僚たちも、あの部屋で何かを見てから辞めていったそうです。
そしてF君に、「頼むから絶対に辞めないでくれよ」と懇願してきました。
Wさんから詳しく事情を聞いてみると、過去にあの部屋で「女の笑い声が聞こえた」「ううう・・・と男のうなり声が鳴り響いた」という報告がされていたそうです。
特に気味が悪かったのは、なぜか部屋の真ん中に「猫のちぎれた手」が落ちていたという報告でした。
カギがかかっている部屋にどうやって猫が入ったのか。
そもそも猫が手を自分で置いていくわけがないので、何者かが侵入して置いていったのだろうか。
色々と考えただけで身震いしたF君は、あの部屋を避けるようになったそうです。
それからしばらくして、F君はまたあの部屋に入ることになりました。
いつものように懐中電灯を持って、深夜の室内を巡回。
すぐに終わらせて部屋を出ようとした時、「ぉーぃ」とまたあの声が聞こえたそうです。
脈拍が上がり、震える手で黒い布をどかし、ガラス越しに外を確認すると、やはり向かいのビルから例の集団がこちらに向かって手を振っていたそうです。
よく見ると笑っているように見えたと言っていました。
F君はその時、あることに気付きました。
手を振っている集団はあのビルの中にいるのではない。
ガラスに反射してこちら側のビルが写っていたのです。
つまり、あの集団はF君の背後にいるということです。
全身に鳥肌がたったF君は、恐る恐る背後を確認。
その瞬間、ジリリリリ!!とサイレンが鳴り、廊下から女の悲鳴が聞こえました。
F君は血相を変えて廊下に飛び出し、確認してみるとそこには何もいなかったそうです。
慌てて管理人室に戻り、Wさんに報告。
Wさんは疑うことなく、すんなりとその話を信じ、二人でガタガタと震えていたそうです。
Wさんはサイレンの音など聞いておらず、もちろん女の悲鳴も聞いていないと言っていました。
翌日、F君は辞表を提出し、すぐに辞めました。
話ではWさんもその後しばらくして辞めたそうです。
F君はその後またパチスロ生活に戻り、ジャージ姿のボサボサ頭でビールを飲みながらこの話を語ってくれました。
後にも先にも、こんな体験したのはこれっきりだったそうです。
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