奇々怪々 お知らせ

不思議体験

粉チーズさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

彼なりのありがとう
短編 2021/11/05 16:23 1,869view

ある災害があり、友人が避難所生活をすることになりました。
私のところはギリギリ大丈夫だったので私は友人の避難所に出向くことになりました。

私の住む場所は田舎なので、避難所は住民がみんな知ってる場所だったため、迷わずそこの避難所に出向きました。

避難所の中は顔見知りの人ばかりでした。
顔見知りの人には「大丈夫ですか?」と声をかけながら、友人を探していました。

友人には少しばかりのおにぎりや飲料水を渡すつもりでした。
私の家もライフラインは止まっていましたが、なんとか家は無事で、カセットコンロがあったのでご飯は炊けていました。

ところが探しても友人が居なかったので、近くに顔見知りの人が居たんで「〇〇さんは?」と聞いたら、
誰かが迎えにきて、その人の家に避難したみたいということでした。
あとで聞いたら親戚の方が避難所に来てくれたみたいです。

私はちょっと安心しました。
連絡が取れないけど安否を確認出来たので。

でも友人のために作ったおにぎりと少しのおかず。
日持ちもあまりしないので、とりあえず一食分作ったおにぎりを、どうしようかと悩みました。

顔見知りの方にあげても良いけど、本当に顔見知り程度なので、これはこれで不公平になるかなあと思っていたところ、物資が明日には運ばれてくるらしいので、おにぎりは持ち帰ることにしました。

避難所をでて車に乗る前に、一人で喫煙所にいた男性が目に入りました。
その男性も知り合いと言う訳でもないですが、小さい町なので、いろんな場面で見かけたことがある男性でした。

彼はまだ独身で、おとなしい感じなんですが、多分、あのお母さんの息子さんだなあとは思ってました。
そのお母さんとはスーパーで会えば挨拶したりする関係です。

私はとっさにおにぎりと飲料水をあげることに。

なぜなら一人で居たので不公平にはならないかなあと思ったからです。

「良かったら少しおにぎり硬いかも知れませんが食べてください、友人がいなかったので」
と説明してあげました。

彼は無口なのは知ってました。
一言「ありがとうございます」と頭を下げてくれたので、私は「じゃがんはってね」と帰りました。

その半年後、なんとかみんな落ち着きを取り戻した頃、そのおにぎりをあげた彼が夢に出てきたんです。
彼はベッドに座りながら私をじーっと見てる夢でした。
何も話さず、ただじーっとまっすぐ私を見てたんです。

私は目を覚まして、変な夢だな、あれ、あの夢の人、誰だっけ?と考えていました。
普段交流がないため彼を思い出せなかったのです。

1/2
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。