祖父の背中から出てくる小さい人

私は一度背中から出てくる人を見たことがあります。
いつも元気だった祖父が仕事で怪我をして、手術をしたけど足が動かなくなったことがありました。

それまでよく話、よく動く祖父だっただけに、歩けなくなったことがよっぽどショックだったようで、あからさまに元気を無くして覇気がなくなっていました。家族や友人の誰が元気づけようとしてもうまくいきません。
そんなときに私は不思議なものを見ました。

祖父が座ってテレビを見ているときでした。
祖父の背中から突然もぞもぞと何かが動きだしたんです。最初は見間違いかと思いました。

目をこすって見直して、でもやっぱり何かがもぞもぞ動いています。私が呆然としつつその光景を見ていたら、祖父の背中から人が出てきたのです。私に見られたのを気付いたその「人」は一瞬びくっとして、祖父の家のテレビ台と壁の隙間に逃げていきました。

私は白昼夢でも見たかのようにしばらく呆然とし、だいぶ時間が経過してからハッとして、驚きつつも付近を捜索してみました。
人間こういう不思議なものに出会うと、驚きすぎてしばらく動けないみたいです。
しかし、当然のようにその小型の人は見つかりませんでした。芸能人なんかがいう「小さいおじさん」ってやつなんでしょうか。

おじさんかどうかまでは判断できないですが、小型の人でした。どういう原理で祖父の背中から出てきたのか分かりません。しかし、それが良かったのか何なのか、祖父が急に吹っ切れたように車いす生活に励むようになりました。

背中から出てくる人が何の役割をしたのかはいまだに分かりません。分からないけど、祖父が元気を取り戻したタイミングはその背中から出てくる人を見てからです。悪いものが出ていったから祖父が気持ちを切り替えられたのか、はたまたあの小さい人を見たおかげで祖父が元気を取り戻したのかは今でも分かりません。ただ人ならざるものって実際にいるんだかとあの体験を通してまざまざと思い知らされました！