死んだはずの黒い金魚
投稿者:ぴ (414)
夜店でよく、金魚すくいってありますよね。
私はお祭りのときに夜店で金魚すくいに参加して、黒いでめきんを一匹すくいました。
何匹かすくった金魚はすべて赤い金魚で、黒い金魚は珍しく、その分うんと可愛がって毎日多めに餌をあげていたんです。
ですが、ある日悲劇が起こりました。学校から帰ってきて金魚のいる大きめの器のところを見たら、その付近に2匹の赤と黒の金魚の死骸が。器の上に木の板で蓋をしていたのですが、それがなぜだかズレていてその隙間から金魚が自分から飛び出してしまったのです。
大事にしていた金魚を亡くして、私はわんわん泣きました。お庭にお墓を作って母と一緒に埋めました。
それなのに翌日、黒い金魚が悠々と泳いでいる姿に私は驚き、「生き返った」と無邪気に喜びました。まだ子供だったので、金魚が生き返ったのがただただ嬉しかったです。しかし隣の母はあきらかに動揺して、「え?なんで?」と私以上に取り乱していました。あまりに反応がすごかったので、小さいながらよく覚えています。
普通に考えて、死んだはずで埋めたはずの金魚が翌日元気に生きて泳いでいるなんて怖いものです。私ももし大人になってそんなことがあったら母みたいに取り乱したと思います。
けれど私の母はその金魚たちを私のために捨てたり、人にあげずに育ててくれました。そして出目金はそれから10年くらい長生きしました。ほかの金魚が死んでもその出目金だけは生き続けて、怖いくらい長寿でした。
出目金が死んだのは、私が大きな病を患ったときです。手術が成功したその日にひっそりと出目金は自宅の水槽で水に浮かんで亡くなっていました。
今もちょっとあの出目金の存在は怪奇現象だよね!と母と懐かしく語ります。母は最初怖くて誰かに渡したかったけど、途中から愛着が芽生えてしまったらしいです。もしかしたら私の病を金魚が引き受けてくれたのかもしれないねと今はちょっと家の守り神みたいな存在に感じています。
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