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心霊

佐和さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

夜な夜な来る女の影
短編 2021/10/30 00:27 897view

10年ほど昔。私は昼はOL、夜はホステスとして働いており、朝は早くに家を出て夜中に帰る生活が続いていた。
11月の夜の寒空の中、いつものようにお酒を飲んでふらふらになりながら帰路についていると、自宅の近所のパーキングエリアにやけに黒い影が見えた。髪が長い女のように見えるが、あまりに黒い。気味が悪かったが、家に帰るには、そこを通らないといけない。
なるべくそちらを見ないように早足で通り過ぎ、家に着いた。その日は疲れてすぐに寝てしまった。

翌日は、そんなに飲みすぎることは無かった。昨日と同じようにパーキングエリアを通ったが、黒い女の影は無く、女の影がいた場所には精算機が立っていた。
なんだ、昨日は酔っ払って、精算機と影を見間違えたのか…そう思ったが、精算機は電灯に照らされ明るい緑色をしていた。
こんなに明るい色を真っ黒な影を見間違えるだろうか…?
気味が悪かったが、帰宅して床に着くと、すぐに寝てしまった。

どのくらい眠っただろうか…ふと腹に、息ができないほどの圧迫感があり目が覚めた。目を開けると、腹に昨日見た女の影がのしかかているではないか。

一目見て、起きてることがばれちゃまずいと感じた私は目を閉じ寝たフリをした。その間も、腹は圧迫され続け、脂汗が浮かぶほどの痛みだった。数十分は続いただろうか、突然腹の重みが消えた。
薄目を開けてみると、女の影がじっと私の顔を覗き込んでいた。
恐怖で涙が出そうだった。これは夢だと自分に言い聞かせながら耐え続けた。またしばらくすると、女の影は、今度は胸にのしかかってきた。あまりの苦しみに、グゥゥ…という唸り声が出てしまった。
そこで女の影はパッと消えた。

腹と胸に違和感は残るものの、体も動かせるようになり、女の影が消えたことに安堵した。ふと時計を見ると、あんなに長く感じた時間が、床に付いてからまだ5分も経っていなかった。

その日から、夜になり床に着くと、女の影が出現するようになった。
毎夜の苦しみに耐えられず、引越しをすると、女の影は出なくなった。
一体なんだったのか不明だが、もう二度とあの土地に行かないようにしている。

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