天井裏の謎
投稿者:dia (6)
怖い話と言えるかは微妙なところだが、自分にとっては怖かった話。
20代の頃、母方の祖母の家で下宿をしてバイト生活をしていた。祖母の家といっても、よくある田舎の家ではなく、むしろ実家よりも都会にある割と新しめの家だ。
理由は実家のある街よりも仕事があるし、遊ぶところも多かったから祖母を丸め込んで二人で一緒に暮らしていた。
もちろん稼いだお金は何割かは渡していたし、祖母とは私が祖母宅を出て一人暮らしを始めるまでの数年間とても良好な関係でいたと思う。
祖母自体は昔から飲み屋を経営していたこともあり、わりと肝っ玉母ちゃん気質な気の強い人で一緒にいてとても居心地がよかった。
ただ、そんな祖母と生活をした数年の間に、何度か怖い体験をしたことがある。
最初は天井からの聞こえてくる足音だった。私が下宿していた部屋は二階の部屋で祖母は一階の部屋を利用していた。
ある夜、私が部屋でくつろいでいると天井からパタパタとスリッパで歩くような足音がした。驚いた私は急いで祖母のところに行き、先程あったことを話した。
幸い、近くに叔父さんが住んでいたので、来てもらって天井裏を一緒に確認してもらった。
けれども天井裏は蜘蛛の巣が貼っているばかりで特になにもなかく、私の気のせいではないかという話になった。
それに天井板自体が薄く、天井裏自身も低く作られているので人が足音を立てながら歩くのは難しそうだった。
仮に人がいたとしても這って進むのが精一杯だろうと叔父さんが言った。
納得はいかなかったが、自分でも一度そこを見てこれは無理だろうと思ったので渋々頷くしかなかった。
それから少ししてまた別の日の夜、今度は私がバイトから家に帰ってきたときにもまた異変があった。
私の部屋の電気が点いていた。その日は昼からの出勤だったので電気は点けずに家を出たのを私ははっきりとおぼえていた。
祖母が部屋に入ったのかとも思ったが祖母は足が悪く、普段は自分から進んで二階には上がってこない。
聞いてみてもやはり祖母は電気をつけていないと言う。
一応部屋の中を確認し、特にあらされている様子も盗られているものもないので、それも自分の気のせいということになった。
なんだかとてもモヤモヤしたが、実害はないし仕方がなかった。
家の中でもなぜか私の部屋だけその後も足音がしたり、帰ったら電気が点いていたりしたことがあったが続くと慣れてくるもので少しするとあまり気にならなくなっていた。
祖母にも心配をかけたくなかったので慣れてきてからはいちいち報告しなくなっていた。
足音はきっとただの家鳴りで電気は自分がつけたのを忘れてしまっているのだろうと無理やり思い込もうとしていたのかもしれない。
そんなこんなで数年経ち、一人暮らししようということで家を出る予定となっていた頃、足音の他に、ごとっごとっという何かを打ち付けるような音が天井からしていることに気がついた。
足音には慣れっこになっていたが、流石にそれは怖かったので久しぶりに祖母経由で叔父さんに来てもらった。
いつもは音は少しするとしなくなるのだが、その日はなかなか音が止まず、叔父さんが来てもずっと同じ音がしていた。
叔父さんも今回は天井裏を確認することを躊躇ったが、ごとっごとっという音以外なにも聞こえないので、
「もしかしたら動物が入り込んだのかもしれない」ということで前回同様にライトを持って天井裏を確認してくれた。
天板を外す段階になっても音は変わらずしていたが、叔父さんは天井裏に顔をつっこんで一通り見回した後、すぐに無言で天板を戻しこちらに来た。
前回同様、何もなかったと言われた。
天井裏は蜘蛛の巣が張っていて、何か動物が入った形跡はなかったとのこと。
なんとか現象ってやつですね。
ビビらなければ実害ないんじゃないでしょうか?