真夜中に立ち寄った田舎の小さなトイレ
投稿者:とろとろ (22)
そこで私の中で、何故だか姉が、そのまま逃げてしまうのではないのかと思い、姉に聞きました。
「そのまま逃げたりしないよね?」
すると「逃げないよ」と。
「でも、一人になるのは怖い!」というと、「でも、開かないじゃん。出れないじゃん。だから、行ってくる!ほんのちょっとだから、待ってて!」
そうして、寝ている親を起こしに、姉は車へ行きました。
真夜中のトイレにただ一人閉じ込められた私。
何度もドアを開けようとしても開かない。
少し諦めかけたときでした。
「トントン」と音がします。
私は姉が戻ってきたのかと思い、「お姉ちゃん?」と声をかけてみましたが、返事は返ってきません。
そしてまた、「トントン」
ドアを叩く音です。
あまりにも怖すぎるし、姉は戻ってこないし、すごく怖すぎて私は、イライラしてきていました。
「誰?なんなの?怖いからやめてよ!」と、かなり怒りながら私は言いました。
そして、怖さをぶつけるように、私は、「トントン」という音に負けないくらい『ドンドン』とドアを叩きました。
すると、「トントン」という音はなくなりましたが、だんだんと私の思考は、暗くなってしまい、もう嫌だ絶対に姉は逃げたんだ。
姉も怖いから戻ってこないんだ。と絶望を感じていました。
これは、普段の行いが悪いから閉じ込まれたんだと思い、何に対してなのかは、わかりませんが、ずっと謝り続けていました。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ドアを開けて下さい。ごめんなさい…。」と。
そうしながらドアを叩いた瞬間、ドアが開いたのです。
そこには姉が立っていました。
「え?」と
私と姉は同時に驚きました。
ちょうど姉が戻ってきたのと同時にドアが開いたようなのです。
私は、姉が逃げていなかったことに、戻ってきてくれたことに安心しました。
あんなに開かなかったドアが急にすんなりと開くだなんて、驚きました。
私も姉も信じられませんでした。
真夜中に姉と二人で体験した、この恐怖体験は、今でも忘れられません。
ちなみに、親を起こしに姉は、車へ行ったのですが、寝ている親を起こそうとした時、私に何かあると、いつも姉は怒られていたので、親を起こしたら親に怒られるかもしれないなと思い、結局は親を起こせずに、もう自分がドアをよじ登って私のいる個室の中に入って、中から一緒に開けようと決めて戻ってきたそうです。
なので、このトイレでの出来事は、私と姉以外は、誰も知りません。
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