鬼門と呼ばれる裏門
投稿者:トルマリン (5)
翌朝、学校に行くときもその裏門の方を見て「おはよう。」と挨拶してみました。
帰って来た時も「ただいま。」と。
私はその気配が消えるまで、その挨拶を続けようと思ったのです。
それから、しばらくして誕生日の時の写真が出来上がり、子供の頃から行っている写真館に取りに行きました。
写真館のおじさんは気まずそうな顔をして、1枚変な写真があったと。
見ない方がいいと言われたのですが、私はどうしても気になり見ることにしたのです。
その写真に写っていたのは、写真一面に広がる女の人の顔でした。
私は思わず声を上げてしまい、写真を落としてしまったのです。
心臓の鼓動が早くなり、その写真を拾い上げるべきか悩みました。
しかし、母の言葉を思い出し、私に何かを伝えたのかもと写真を拾い握りしめ裏門に走ったのです。
裏門に着き、大きな声で叫びました。
「何が言いたいの?教えて!」
返事を待ってみたのですが、何の返事もありません。
そこにどれくらいいたのかわかりませんが、気付くと日が暮れそうでした。
これ以上は待てないと思ったので、帰ることにしたのです。
その写真を日記帳に挟み、誰かに見せるのはやめようと思いました。
何となく見せてはいけないような気がしたからです。
次の日から、悪い気配は全く感じなくなり写真もずっと挟んだままでした。
それから時は経ち、高校生になった時です。
法事があり、おばあちゃんが眠っているお寺さんに行くことがあり、そこの住職さんに写真のことを聞いてみたのです。
住職さんに写真を見せるとそこに写っていたはずの女の人は消えていました。
住職さんは私の話を親身になって聞いてくれて、きっと分かってくれる人に会いに来たんだと。
この女の人がどういう事情で亡くなり、何を伝えたかったのかはわからないけど、あなたに見つけてもらえただけで嬉しかったのかもしれないね。と。
私は何だか泣きそうになり、住職さんに私はこれからどうしたらいいのか尋ねました。
もし今度、そういう気配を感じたら、あなた達が悪い人たちではないと、成仏してくださいと唱えてくださいと。
私は少し肩の荷が降りたような気がして、その写真を住職さんに渡しお祓いをしてもらい、お寺をあとにしました。
今まで出会った人たちがどうか安らかに眠りにつくように。
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