山の神を怒らせちゃいけない

猟師→A→俺の伝言ゲームだから内容が違っているとこもあるかも。
セリフ調なのはAが必死に猟師の物まねをしていたから。

兎にも角にも、俺らはパンイチになって仰向けに水に入り目をつむってひたすら反省をせねばならない。
にわかに信じ難いが、特異な現象に見舞われている以上、これにすがらない手はない。

幸いにも川はすぐそばにあるし、水深も浅い。
ちなみに顔は出してていいの？と聞くと、分からんけど出してなきゃ死ぬしいいんじゃない。とのこと。

俺らはパンイチで川に入り、目をつむって変なことしてごめんなさいとか考えてた。

こんなことして意味あるのか？
Aが面白がって騙してるのか？
でも実際帰れてなかったしなあ。

まあ木折ったのはごめんなさい。。。
でも木折っただけでこんな仕打ちある？
しかも倒れてたし腐ってたやん…

みたいな雑念が渦巻いていたのは言うまでもない。
実際に何か怖い物を見たわけでもなく、
なんか不思議な体験をしておかしいなあって程度だったってこともあって、
どうもしっかり反省できずにいたんだ。

5分ほど経ったかな、
真夏と言えど冷たい沢に泳ぐわけでもなく浸かりっぱなしだし、寒くなってきた。

寒いな～もう辞めちゃおうかな～と、体を起こしかけたその時だった。

グッと水にひきよせられる感覚があった。
まるで磁石のS極とN極みたいに。
あまりの勢いに後頭部や背中を強打した。

地面は細かい砂利だからそこまで痛くないはずなのに、
小学生低学年の頃に廊下で走って6年生とぶつかって背中強打した時みたいに、
息ができなくなるほどだった。例えが特殊だな。
芝生でふざけて柔道部と組手した時に背負い投げされて受け身取れなかった時みたいに。
これも特殊か？

本当は目を開けちゃいけないんだが、一瞬、うっすら目を開けてしまったんだ。
その瞬間は幻覚かと思った。幻覚であってほしかった。
たった一瞬だったのに、そのシーンは今でもはっきり覚えてる。