モルモットと暮らす私の家に巣食うもう一人の住人
投稿者:朝暮 (2)
私は昔から少し霊感があり、この世のものではない存在も敏感に感じる事が出来ていました。
大人になった今では少し鈍りましたが、それでも感じることは多々あります。
しかし、自宅で発生するこの現象の際には、不思議なくらい何も感じませんでした。
「もしかして、土地神様の仕業・・・?」
このアパートを建設する際、大家さんは費用を節約しようとしたのか、鎮魂の儀を行わなかったとうわさで聞いたことがありました。
まさか、それが関係しているのか?
そう思っていた数日後、事件が発生しました。
朝、目覚めてカーテンを開けるとアパートの向かいに立つ大家さんの家に複数台のパトカーが止まっていました。
私の下の階に住んでいる大家さんの息子夫婦とは、日頃から会話をするくらい仲が良かったので、駐車場にいた息子さんとお話をすることに。
「大家さんの家にパトカーいますけど、何かあったんですか?」
「昨日の夜、いつも通り街に飲みに出た親父が行方不明になったんです。」
「え・・・?いつもの飲み屋に行ったんじゃないんですか?」
「いつもの場所は休みだったみたいで、隣の町のたまに訪れる飲み屋にタクシーで向かったらしいのですが、何故か途中にある山によってくれと言われたらしく、そこでタクシーを降りたみたいなんです。」
「なんでそんなところに?」
「そこには親せきが所有している山や土地があるから、そこの敷地内で身内と飲むのかと思ってたんですが、さっき確認したら知らないと言われ、連絡もつかないので警察に捜索願を出したんです。」
まさか、大家さんが行方不明になるなんて・・・。
大家さんは現在も行方不明のまま、いまだに捜索が続けられていますが、手掛かり一つ見つかっていません。
そして、大家さんの行方不明を期に、我が家で発生していた不思議な現象も落ち着きを見せた・・・とその時は思っていました。
大家さん行方不明から1か月後、私は新しい仕事で忙しく、自宅で起こった不思議な現象や大家さんのこともすっかり頭から離れていました。
その夜、帰宅後入浴をしていると、浴室のドアの向こうに誰かが立っているようなシルエットが映りました。
「誰?」
もしかして、元嫁がまだカギを持っているから荷物を取りに来たのかな?
そう思い、たまたま浴室に持ち込んでいたスマホで元嫁に連絡をすることに。
プルルルル・・・ガチャ
「もしもし、いきなり電話してきてどうしたの?」
この瞬間、そこにいるのが元嫁ではないことが確定しました。
「ううん、今どこにいるかなと思ってさ・・・」
「ねぇ、なんかあった?」
「うん・・・」
「どうしたの?体調悪いなら看病行こうか?」
「いや、絶対来ちゃだめだ!!」
「ちょっと、いきなり怒鳴って、ほんとどうしたのよ!?」
「今お風呂に入ってるんだけどさ、浴室のドアの前に誰かいるんだ・・・。」
「え?」
「玄関のカギは確実に閉めてるから君以外ありえないと思ったけど、違うんだよね。」
「もちろん、私今家だし晩御飯みんなで食べてるから違うにきまってるじゃない。」
「うん、電話を掛けた瞬間に違うってわかった・・・。」
「じゃあ、そこにいるのは誰なの?」
「誰じゃない、ナニかがいるんだ。」
青ざめて震える声で電話をする私を元妻は心配そうにしているが、さすがに来させるわけにはいかない。
「ねぇ、ほんとに大丈夫?お父さんと今から行こうか?」
「いや、ほんとに来ちゃだめだ、1人で何とかする、いきなり電話してゴメン、じゃあね」
「ちょっと、ホントに」
ゆきの声を途中で遮り俺は電話を切る。
影はいつの間にかいなくなっていた。
不思議な話ですね・・・。事故物件でもないのに。早く引っ越しして穏やかな日常を送って欲しいです!