ねえ起きて!ねえ!
投稿者:STRIKE (5)
短編
2021/08/24
11:58
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8年程前、私は母方の祖父母の家に住んでいました。その家は平屋でとても古く、屋内の何処に居てもちょっと大きな音がすれば聞こえてしまうほどでした。
これは、そんな祖父母の家で過ごしていたある夏の夜に起きた事です。
私は壁際を向いて眠る癖があり、その日も同じように壁を向いて眠っていました。
眠りに入ろうかとしている頃に、背後から「ねえ、起きて!」という小学生位の女の子の大きな声が聞こえてきたのです。
夢だろう、と思いました。特に気にせず目を瞑り寝入ろうとしましたが、背後からは相変わらず「ねえ起きて!ねえ!」と何度も声がするのです。あまりの煩さにすっかり目が覚めて、苛立ちが募ると共におかしいなと感じました。
こんな夜中に幼い子供が他人の家に居るはずがない事。そして普段なら話し声でも起きて様子を見に来るはずの祖父母が一向に起きてこない事。
「ねえ起きて!起きて!起きて!ねえ!!」
ちょっと生意気そうな女の子の声はずっと叫んでいます。
これは振り返ってはいけないものだと、本能的に理解してしまいました。
そこからはただずっと、壁を見つめながら「ねえ!!起きて!」の声を聴き続けました。
振り返ればどうなるのだろう、起きていると知られたら?そう思うと身動きも取れませんでした。
体感で約10分程でしょうか、気づけば部屋は静かになり、声は消えていました。
ほっと息をついたその瞬間に、耳元から
「起きてるくせに」
と、声が聞こえました。
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