下の隙間、壁のツタ。
投稿者:塁 (4)
今度は廊下のほうから何か転がってくる音がしました。
これもはっきりと分かってしまう。沢山の人を押し固めたような物体が転がってきます。人の髪の毛や、指、足、丸出しの臓器もがはっきりとその丸い物体にねじ込まれて押し固められているのが確認できました。
私の部屋のドアまで転がってきましたが、ドアの幅が足りず挟まります。
人の叫び声と鶏のなき声を混ぜたようなそんな叫びが聞こえていました。
もう私死ぬのかなあ。
そう思った時でした。
あの男の子がベットの下から手を伸ばし、たしかに私の肩に触れたのです。
例えようがない声で、
よ し よ し 。
とつぶやき私の肩に触れた手を、ゆっくりと動かして撫ではじめたのです。
冷たくて、コツンと音がするほどに硬かったです。
人の皮でできたツタは伸びてるし、ドアに挟まったまあるい沢山の人のかたまりは相変わらず叫んでるし。あのヤギ男は気が付いた時にはいなくなってるし。
男の子に撫でられてる肩は、ちょっとずつ細くなってちぎれていく。
痛くはなくくすぐったいようなそれに近い痛みがありました。
目をつぶったまま今すぐ叫びここから逃げ出したかったです。でも目を開けたら絶対だめだ。動いたら絶対にダメだ。とこの時ずっと自分に念じていました。
そして、ついに恐怖でなのか私の記憶はここでやっと途絶えました。
目を覚ましたのは昼過ぎでしたすぐに異変がないか確認しました。
肩も健全だ。
壁も大丈夫。ドアは閉まっているがリビングのほうから弟の騒ぎ声と、母かけているであろう掃除機の音がする。
安心した私は急いでドアを開けてリビングに走りました。
少し不安もありました。変わり果ててたりしないよな…とか
リビングのドアをあけるのに一瞬戸惑いましたが、できるだけ普通にみえるようにそっと開きました。
「あら、おはよう。久しぶりにぐっすり寝てたから起こさなかったわよ。」
と、母が掃除機を止めて笑いかけました。
父はいつも通りタブレットを触りつつ大福をたべてて、弟はスマートフォンで動画を見ながらケラケラ笑っていました。
良かった、いつもと何も変わっていない。そりゃあ、そうだ。
昨日はきっと悪夢を見ていたに違いないと、じぶんを安心させました。
そして昨晩のことは家族には、何も話しませんでした。
昨日の夜あの時、目を開けていたらどうなっていたんだろう。
あれは、何だったんだろう。とずっとかんがえていました。
変な夢の話ですねぇ!