廃墟の怪物

ただ、車の左側に無数についた大きな手形は、いくら洗っても、いくら磨いても落ちることはなかった。
貧乏だったからしばらく乗ってたけどね。

あれから数年、ようやく車を買い替え、たまたま再会したあの時の女の子一人とドライブに行ってきた。
悪友は、あの時の事に関わりがあるかわからないが、山道でバイク事故を数回起こし、バイクを降りた。

よく、道路で死んでいる動物を「可哀想」と思うとついてくる、って話あるよね。
悪友はあそこで謝ったりしたもんだから、何かしらの気が働いてお地蔵様の結界を超えてついてきたんじゃないだろうか。

とにかく、何かを見ても不必要に話しかけたり変な情は持たない方がいいね。
あれ以来、夜の山道は二度と走らんと決めた。