兄は聞くに聞けず、ただ黙って後を追いました。
朝を迎え、昼になり、夕方になり、日が沈んでも歩き続けました。
Sさんと兄はとっくに限界を超えていました。
結局、二人は足の裏から血が滲んできた段階でギブアップ。
当時は二人ともケータイを持っておらず、現金も持っていませんでした。
誰かに連絡することもできずに、いつの間にか地べたに倒れこんだまま寝てしまいました。
何時間経ったか、Sさんを探し回っていたSさんのお母さんに発見されます。
ちなみに、兄は何も言わず数日家を空けることがあった為、
うちではいつものことだろうと思って何もしていませんでした。
Sさんのお母さんは泣きながら二人を説教して、車に乗るよう言います。
事情を説明し、たつさんが歩いて行った方向に車を走らせ、
たつさんの捜索が始まりました。
Sさんのお母さんのケータイを借り、警察とたつさんの両親に連絡しました。
たつさんが遺体となって発見されたのは2日後のことでした。
たつさんが歩いて行った方向は、隣町の山の中。
その山はブラックバス釣りが盛んで、野池が数多く点在しています。
「釣れるが、釣りしちゃあかん」と言われていた、火葬場の隣の池でたつさんは見つかりました。
草で隠れて見えなかったらしいのですが、たつさんの靴が置いてあり、
捜索したところその池に浮いていたそうです。
たつさんは何を見たのか、Sさんはなぜ平気だったのか。
焼死した霊に憑依され、体の熱を冷ます為に池に飛び込んだのだろうか。
それともただ、霊に呪い殺されたのか。
その後、兄はたつさんを救えなかったあまりの悔しさに、
何年もたった今でも過去に起きた事件について詳しく調査しています。
そこで、この一連の騒動を裏付けるような事実が発覚します。
まず、文化ホールでの自殺は実際にあったものでした。
時代も時代で、学校側は簡単にもみ消し、事故として処理したそうです。
年上の卒業生、1代ずつ当たっていき、13個上の代の人たちが詳しく話してくれたそう。
たつさんの苗字が、いじめの主犯と同じだった。(珍しい苗字です。)
Sさんの苗字が、自殺してしまった生徒と同じだった。
用意した灯油かガソリンが足りず、あの焼身自殺は半ば失敗に終わっていたおり、
全身に大やけどを負った状態で病院に運び込まれたのち間もなく病院で息絶えた。
彼が火葬された場所が、たつさんが亡くなった池の傍の火葬場だった。

























久しぶりのイエティさんの投稿に興奮して読み始めましたが、後味が悪いお話でした…
悲しい