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不思議体験

バスタさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

何もないけど何かいる部屋
短編 2020/11/22 23:09 1,228view

これは、私がまだ本当に小さな頃、小学校にも上がっていないくらいの年に、数年に渡って繰り返し見ていた不思議な夢の話です。

私の家は二階建てで、階段の踊り場を挟んで、片方にはたくさんの部屋、もう片方には1つだけ部屋があります。リビングなどはたくさんの部屋のほうにあり、寝室もそちらにあって、当時はみんな、たくさんの部屋の側で過ごしていました。

1つだけの部屋は、その頃は物置代わりに使われていて、浮き輪などの場所を取る季節用品や何が入っているかよく分からない大きなプラスチックケース、高そうなのに誰も使わない室内運動用バイクなど、足の踏み場もない有様。

そんなゴチャゴチャの部屋が私は好きで、たまに入り込んでそこにある本を読んでみたりしていました。喧騒から離れたような静けさがあって、それが気に入っていたのです。

さて、私の見た不思議な夢は、いつも階段の踊り場から始まります。おかしなことに、私はパジャマを着ているし家はシーンとしているからたぶん夜のはずなのに、踊り場の窓から差し込む光は昼間のように明るく、私の視界を照らしました。

それに恐怖するでもなく、私は何故か必ず、物置代わりの部屋のほうへ行きます。扉を開けて中へ入ると、やっぱり明るく照らされた部屋は、何もなくすっきりした様子。

もちろんあり得ないことです。本来そこには、大量のいろんなものがあるはずなのだから。

けれど、何もありません。そして、何もないはずの部屋で何かに座った、知らない誰かが、私を手招くのです。ほとんど何も思い出せませんが、恐らくは子供でした。私は目が覚めるまで、その子と遊びました。

さらに不思議なことに、私はその子供(?)と遊んでいるとき、何かに座っていました。明らかに床ではない、何かに。座る場所などないのに。

それだけでした。それだけの夢を、何度も繰り返し見て、結局正体も分からないまま、小学校に上がった頃からは夢を見なくなりました。

そして、物置代わりの部屋は、今は私の自室です。
数年前に、「夢に何度も出てくる場所は、霊に呼ばれている」という話を聞きました。

しかしどうにも、そういうのではないと思います。仮に呼ばれていたとしても、きっと悪い意味ではないと、何となく感じるのです。

だから、「遊んでくれてありがとう」と、もう性別も正体も分からない何かに向けて、私は感謝しています。その子にとっても、私と遊んだことが楽しかったら良いな、と願いながら。

以上、私の見た、不思議な夢の話でした。

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