21時をすぎた頃、運転で疲れた父さんも、美術館で興奮しすぎた母さんも、早々に寝てしまいました。
一方私は友達と写真共有アプリでチャットしていたのでまだ眠くはありません。
アップした写真には友人たちから湖きれい、BBQいいなぁとたくさんコメントがついています。
しかし一つだけ気になるコメントがありました。
「湖なんか遠くない?」
悪意があるとは思いません。
しかし当時の私はすごく侮辱されたような気持ちになってしまいました。
そのため、親が寝ている今ならそっと出て、さっと写真を撮ってこれるな、夜の湖って神秘的でウケも良いに違いない、なによりちゃんと湖のそばで撮ったよと言い返してやりたい、そんな感情が高まってしかたがありませんでした。
湖までは急げば片道2分くらいです。
ぱぱっと撮ってすぐに帰ればバレるはずがありません。
そのため私はすぐに実行に移すことにしました。
まず親を起こさないように静かにロッジの玄関を開けて、湖に向けて歩き出しました。
キャンプ場とはいえ街灯はそこまで多くはなく、道はそこそこ暗くて怖かったですが、スマホのライトで照らしながら急ぎ足で歩きました。
予定通り2分ほどで無事に湖のほとりに着きました。
私は夜の湖の美しさに息を飲みました。
月や星の光が水面に反射してキラキラと輝いています。
私は写真を撮るのも忘れて見惚れていました。
どれほど時間が経ったでしょうか?
真後ろから「詩織!!」と私の名前が大声で呼ばれました。
振り返ると父さんが立っていました。
暗いせいで表情は読み取れません。
怒られる。そう思い、覚悟を決めました。
しかし、予想外に父さんは「よかった」とだけ呟いて、その場に泣き崩れてしまいました。
親が、というより大人が泣いているのなんて見たことがなくて、私は戸惑いました。
しかし、すぐに自分が父さんにどれだけ心配をかけたかに気がつき、私もその場でワンワン泣いてしまいました。
私が泣き止む頃には父さんも落ち着いていました。
「約束破ってごめんなさい、どうしても近くで見たかったの」
「いや、父さんも心配しすぎて逆に詩織のことを考えられてなかったな。すまない。でも約束を破って父さんや母さんに心配をかけるようなことはするなよ。あ、母さんも安心させてあげないとな」
そう言って父さんは母さんに電話していました。
どうやら母さんはロッジで待機していたらしく、今からこっちに来るようです。























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