それどころか、さっきまで絶えず聞こえていた服の擦れる音も、畳を這う音も完全に消えていました。
少し嫌な感じがしました。
「おに、おに」
もう一度。
今度は少し大きな声で言いました。
数秒、何も聞こえませんでした。
そして。
「……かめ、かめ」
声がしました。
僕は一瞬、固まりました。
いとこの声ではありません。
知らない女の人の声でした。
低いわけでも、高いわけでもない。
ただ、妙に平坦な声。
しかも、声がしたのは目の前ではありません。
背後でした。
かなり遠くから聞こえました。
「……かめ、かめ、かめ」
その直後。
ドタッ。
ドタッ。
ドタッ。
何かが床を強く叩く音がしました。
最初、足音だと思ったんですけど、すぐに違うと気づきました。
音の間隔がおかしいのです。
二本足で走っている音じゃない。
手と足を使って、床を叩きながら進んでいるような。
四つん這いで全力疾走しているような音でした。
ドタドタドタドタッ。
ものすごい速さで近づいてきます。
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