小さい手の正体
投稿者:碧 (1)
私が高校生の頃のお話です。
ある日の夜。
私は怖い夢を見ました。
内容は覚えていませんが、とても怖い夢で勢いよく目を開けた事を覚えています。
と、同時に視界の端に2~3歳ぐらいのぷにぷにとした子供の手があり、私の頬を軽く叩く感覚を覚えました。
私は3姉妹の長女ですが、当時そんな年齢の子供は我が家にはいません。
でもそんな事より夢の方が怖かった私は、自室のTVをつけて悪夢を紛らわせ、また眠りにつきました。
朝起きたときにあれはなんだったんだ?と思いましたが、特に気にしていませんでした。
それから数日後のまたある日。
夕食後にリビングでのんびりしていると、母が「そういえばさ」と話し始めました。
母が昼間リビングのソファーで昼寝をしていると、小さい子供がソファーの周りを走り回り、じゃれつくように母の体をよじ登り、かと思えばまた走り出し。
本当に小さい子供が家の中にいる感覚があったと。
でも母は怖いと思う訳でもなく、うつらうつらとしていたそうです。
その話を聞いた瞬間、バッ!と脳裏に浮かんだのは私の頬を叩いたあの小さい手。
それまですっかり忘れていた事を興奮しながら家族に伝えました。
この’小さい子供’という共通点。
母が「あんたなんか連れてきた?」と聞いた相手は父。
実はちょこっと霊感体質な父、過去住んでいたマンションでも色々ありました。
(母も多分そういうのを少し感じ取れる人かも)
思い返せば父が、「うちの2階で誰かが走り回る音がするんです。」
という話を職場の人から聞いてきた事がきっかけでした。
その職場の方のおうちは、日中はおばあちゃんが一人で過ごしているそうなんですが、誰もいないのに2階でドタドタと走り回る音がする、と。
「何かいるのかなぁ。」という話を聞いた、と。
そしてまたしばらくして。
その職場の人から、「原因がわかった。」と聞いたそう。
あまりにも足音がするので霊能者の方にみてもらったら、’水子’でした。
そこのご家庭では過去に流産された事があったそうで、その子が走り回っていたようでした。
その話を聞いた瞬間、父はなぜかすごく可哀想に思ったらしいです。
それと同時に「しまった。」とも思った。
霊に同情してはいけない、という知識があったので心底その亡くなったお子さんに対して同情してしまった自分に対しての「しまった。」
特別怖くはなかったけど、良かったです
落ちの軽さもちょうど良かった