黒いものが付いてた。
カビだと思った。
指で触ったら、ぬるっとした。
そこで嫌な臭いがした。
排水口を掃除したときみたいな、生臭いような臭い。
シャワーヘッドをよく見ると、水が通る真ん中の穴とは別に、外側に細い隙間があった。
切替レバーの裏側だった。
そこに水が入り込んで溜まる構造になってたらしい。
表からは見えない。
水を止めても完全には乾かない。
綿棒を差し込んでみた。
黒い汚れがごっそり付いた。
その中に、白い糸みたいなものが混じってた。
動いた。
一本じゃなかった。
何匹もいた。
小さい幼虫だった。
そこで初めて分かった。
あの虫、部屋で湧いてたんじゃなかった。
蛇口の中にいた。
正確には、水が勢いよく通る場所じゃない。
そのすぐ横。
水を出すたびに少し濡れて、
水を止めても湿ったままで、
汚れだけが少しずつ溜まる空洞。
そこが発生源になってた。
ネットで調べたら、台所や排水口に出るチョウバエって虫に似てた。
湿った汚れの中で増えるらしい。
それで半年間、
部屋をどれだけ掃除してもいなくならなかった理由が分かった。
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