数週間後の夜勤。
今日も一人。
あの日起こった不思議な体験も、
普段の大学生活やバイトの忙しさに追われるうち、いつの間にか記憶の隅へと追いやられていた。
あれ以来、何かが起こることはなかった。
だから、
もう大丈夫だと思っていた。
その日も、いつも通りだった。
2時48分。
僕は事務所で作業をしていた。
伝票を整理していると、
「…すみませーん」
売場から声がした。
ふと手が止まる。
職業病からか、
「すみません」
と聞かれると、反射的にそちらを意識してしまう。
だから最初は、
「お客さんかな」
と思った。
しかし、
呼び鈴は……鳴っていない。
そういえば、
自動ドアの開いた音も……聞いていない。
「……すみませーん」
僕は、数週間前のあの出来事が一気にフラッシュバックした。
誰もいない店内。
防犯カメラにも映らない、謎の声。
「あいつだ」
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