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呪い・祟り

シンヤさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

市松人形
長編 2026/08/28 16:17 228view

「……少し、考えさせてください」

風呂敷で菊をくるんで、亮は、寺を後にしました。
アパートに戻った亮は、電気もつけずに、菊と向かい合って座っていたそうです。
「燃やせば、俺は、助かるかもしれない」
「でも、それは……ばあちゃんを、もう一度、殺すことじゃないのか」
「俺のために、ばあちゃんを、もう一度」

「……できるわけ、ないだろう」

考えて、考えて、考え疲れて。
亮は、そのまま、菊を前に、うとうとと、眠ってしまいました。
夢の中で、亮は目を覚ました。

そこにはすでに少女の背丈にまで、大きくなった菊が亮を見下ろしていました。
その冷たい指が、亮の首にかかる。
黒く濡れた瞳が、真上から亮を見つめる。
そこには、燃えるような、憎悪だけがあった。

「――ばあちゃんっ……!」

苦しさの中、亮は、両手で菊を突き飛ばしました。
畳の上に転がった、その顔を、亮は見てしまった。
――人形の目から、涙が、幾筋も、幾筋も、流れていた。

そこで、目が覚めた。
大量の汗。

荒い呼吸。
薄闇の中、床に菊が、うつ伏せに倒れていました。
亮は、しばらく、動けなかったそうです。
そして、ぽつりと、こう呟いた。

「……ばあちゃんは、あの中にいる」
「涙を流しながら、自分の意志とは関係なく、俺を殺そうとしている」
「俺がこのまま殺されたら――ばあちゃんは、悲しむ」
「……でも、俺は、ばあちゃんを、もう一度殺すようなことは、できない」

亮は、ゆっくりと立ち上がり。
机に向かって、ペンを、握りました。

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