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不思議体験

礎吽亭雁鵜さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

中古のドラム式洗濯機
長編 2026/08/13 21:07 116view

女子目線のヒントをもらおうと研究室の後輩の女の子に今の状況を説明して助言を求めると
「あー 彼女さんが何を見たかはわかりませんが、最近先輩彼女変わったのかなぁとか思ってましたよ。たまに今までしてなかった女物の香水の匂いしてましたから」
ここでふと思い当たることがあり、カバンに入れてた洗濯済みのハンカチを後輩に嗅いでもらった。
「そうですね、女性向けの香水の香りしますね。結構強いと思うんですが気付きませんでした?」
そう言われたがこれは本当に香水の香りなのか?あまりそういうのに詳しくはないが正直不快寄りな臭いだ。

とにもかくにも洗濯物からする変な臭いはなんらかの香水のものだったことがわかったので家に帰って早速洗濯機を検分してみることした。

洗濯槽内や乾燥機能のための空気用のフィルター部分など目視できる範囲にはやはり異変は見当たらない。
ただフィルターやそこについている埃からはやや強い臭いがしたように思えたのでその周辺をより丹念に調べてみることにした。

フィルターを外すと洗濯槽に繋がっていそうな穴が露出する。洗濯物を乾かすために湿気た空気を排出するための排気孔と思われる。

排気孔は縦10cm横15cmほどありそうだが安全のためか樹脂製の格子のようなものがついているので手を突っ込むことはできない。
仕方がないので30cm物差しを持ってきて中に突っ込みガサガサとまさぐるとすぐに物差しは何かにぶつかった。

ただ感触的には洗濯機のパーツのような硬そうなものではなくフワフワとしたもののようだった。
物差しで掻き出せるか試してみたが滑ってまったく掻き出せない。
少し不安ではあったが樹脂製の格子をニッパーとペンチで捻り切って、完全に開いた穴に手を突っ込んだ。
指先にふわっとした感触。
埃の塊?
とりあえず指で集めて摘んで引き抜いてみた。
引き抜いた手を開き手の中にあるものを認識して背筋が冷たくなった。
それは埃にまみれた大量の長い髪の毛だった。
うわっと思わずその毛の塊を床に投げ捨ててしまった。
見た瞬間はさすがに焦ったが床に落ちているものがただの髪と埃であることを確認して少し冷静になった。
改めてよく見る、色は薄い茶色〜クリーム色みたいな今時の若い女の子がしてそうな色、10本や20本どころではない、100本近い。しかも取り出したのは手につかめたほんの一部だ。一体どれだけこの穴の中に詰まっているのか見当もつかない。

しかしこれでようやく謎の香りの原因がわかった。
きっと前の持ち主が杜撰な使い方をしていたために排気孔内に髪や衣服の埃が溜まってしまい、それらに染み付いていた彼女の香水の匂いが乾燥のたびに自分の衣類に移っていたのだろう。

ただの髪の毛とは言え手で触れるのはやはり気持ちが悪いのでビニール手袋をして穴の中の髪の毛を回収する。
髪と埃の塊はうんざりするほど詰まっておりこれでよくぞ壊れなかったものだと感心しながら黙々と作業をしていると穴の奥でカサっと指に触れるものがあった。
奥に落ちてしまいそうになるそれを指でなんとか摘み出すとそれは4つ折りにされた1枚のメモ用紙か何かだった。

髪だけでなく紙まで・・・などと一人呟きながらその紙もゴミ袋に投げ入れようとした瞬間なぜかその紙を開いてみたくなった。
洗濯機の構造的に髪や埃のような細くて小さいものならともかくこのメモ用紙のようなサイズのものが自然にこの排気孔に到達することはないはずだ。
私が手を突っ込んでいたこの排気孔側から誰かが人為的に放り込まない限りそこに存在するはずがないのである。
見てはいけないと思いつつも好奇心に煽られて手は勝手に折られた紙を開いてしまう。
紙には一言だけ
「ずっと一緒だよ」
ととても綺麗な字で書かれていた。

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