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心霊

東雲さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

床下
短編 2026/08/12 20:29 118view

大学を卒業してすぐ、私は家賃が破格の安さの一人暮らし用アパートを見つけた。

築年数は経っていたが、内装はリフォームされたばかりで綺麗そのもの。私はすぐに契約を決めた。

入居して3日目の夜。

夜中の2時頃、ふと目が覚めた。

静まり返った部屋の中で、かすかに「カサカサ……カサカサ……」という音が聞こえる。

ネズミか虫でもいるのかと思い、電気をつけたが何もいない。しかし、目を閉じるとまた音がする。

耳を澄ますと、その音は私の耳元や天井からではなく、ベッドの下、それも床のフローリングを「内側から引っ掻く」ような音だった。

最初は気のせいだと言い聞かせた。しかし、音は毎晩続き、日に日に大きくなっていった。

「ガリガリ……ガリガリ……」

爪で木を激しく削るような、執拗な音。

限界を迎えた私は、管理会社に連絡した。

「床下で動物が死んでいるか、何かが閉じ込められているかもしれない。調べてほしい」と。

翌日、業者の男性がやってきた。

彼は怪訝な顔をしながら、キッチンの下にある床下収納のボックスを外し、懐中電灯を持って狭い床下へと潜っていった。

私はキッチンに立ち、彼が戻るのを待っていた。

床下から、業者の這いつくばって進む衣擦れの音が聞こえる。

「あー、これは……」

奥の方から業者の声が響いた。

「何かありましたか?」と私が問いかけても、返事はなかった。

ただ、ゴトゴトと、彼が慌てて戻ってくる音が聞こえた。

床下収納の穴から這い出てきた業者は、顔面が完全に蒼白だった。額からは異常な量の冷汗が流れている。

彼は工具を片付けるのも忘れ、私の肩をガタガタと震える手で掴んだ。

「お客さん、今すぐ、荷物をまとめてここを出てください。今すぐです」

訳が分からず、理由を問い詰める私に、彼は震える声で囁いた。

「床下、あんたのベッドの真下のところ……」

「基礎のコンクリートが、下から激しく削られてるんだ。それだけじゃない……」

業者は信じられないものを見た目で、私の背後を指差した。

「床裏に、びっしりと泥だらけの『人間の手形』がついてた。それも……床下から外へ向かって這ったんじゃない。

外の地面から、あんたの部屋の床の真裏に向かって、何かが這い上がってきて、そこでずっと床を叩いてるんだ」

その瞬間、ガリガリガリガリ!と、今度は真昼間にもかかわらず、キッチンの足元から激しい音が響き渡った。

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