宇宙人の家
投稿者:毎日強制投稿諦めました (6)
「あの家には宇宙人が住んでいるから行っちゃだめだよ」
私が通っていた小学校ではよくそういった噂を聞きました。
それは学校から5分くらいの所にあるボロ家の事であり、私の通学路の途中にありました。
なぜ宇宙人なんて言われていたのかはわかりませんが、そこに住んでいるのは初老の男性でした。
ある日、友達と10人くらいの男女入り混じったグループでその家へと侵入する計画が立ち上がりました。
今思えば堂々とチャイムを押せば良かったのですが、皆「冒険」というスリルを味わいたかったのか、隠れて家の裏手に回りました。
先行して様子を見ていた部隊が住人の存在を確認したため、私を含む後方部隊は慎重に家の周りを調査することになりました。
家の周り(庭のような場所)は雑草が生い茂り、時折ペットボトルやゴミ、鉄板のようなものが散らばっていました。
私が少し他の人から離れたところを調査していた時、妙なものを見つけました。お金です。しかし、明らかに日本語でも英語でもない文字と数字が書かれており、何だろうと思いました。
皆バレないようにとは思っているものの、まあ所詮は子供探検隊。話し声がうるさかったのでしょう。立て付けの悪そうな窓がガラッと開いて住人の男性が顔を覗かせました。
男性は面倒臭そうな顔をしながら「勝手に家はいんじゃねぇよ」みたいな事を言っていました。
私達は少しの間固まっていましたが、「おい」という言葉を聞くと蜂の子を散らすように逃げました。お金のようなものも持って帰るのが怖かったので捨ててきました。
結局あの人はどういう人だったのか分からず、暫くの間私はホームレスか何かだと思っていたのですが、同窓会の場で先生に何気なく訊いた所、「ああ、あの人ね、元ヤクザとかいう噂もあって子供達を近づけないようにって言われてたんだけど。それ以上に皆不気味がってたのはあの人を外で見かけたって人がいない事なんだよね。家の中とその庭にいるところしか目撃されてないの。そういう所から宇宙人とかっていう噂も流れるようになったんじゃないかなぁ」
あの時私だけが見たお金のようなものは何だったのだろう。
ゲーセンのコインじゃないかな?
お手伝いさんてきな人が餌持ってくるんやろ?