僕は建築家になるための大学にかよっている。
練習のために僕は、部屋をメジャーで図っていた。
最初は順調だったが途中で変な点に気づいた。
それは、外側からはかった建物の全長と、内側から各部屋の長さを足した、合計がどうしても一致しない。
計算上、僕の部屋(201号室)と隣の202号室の間に、幅50センチほどの間が空いているのだ。
古い木造アパートだ。防音壁や配管を通すダクトがあるのかもしれない。
そう自分に言い聞かせたが、どうしても気になった。
ある日の深夜、僕は意を決してクローゼットの奥の壁に小さな穴を開けてみることにした。
穴に、スマホのライトを押し当てて中を覗き込んだ。
中は、ただの暗闇だった、配管もなければ柱もない。
ただ、50センチほどの細長い空洞があるだけだった。
「なんだ、ただのデッドスペースか」
そう思ってライトを消そうとしたとき、壁の空洞からカサリ、と乾いた音がした。
何も見えなかったが恐怖に襲われた僕は毛布にくるまって眠った。
翌朝。僕は恐る恐るスマホを開いて昨日撮影した写真を確認した。
1枚目。暗い空間がうつってるだけ。
2枚目。何も写っていない。
3枚目。
僕は息を呑んだ。
フラッシュの光の先に、人間の背中が写っていた。いや、違う。あれは顔だ。
誰かが僕の部屋に背を向けて、体は不自然に歪んでいた。
その背中は、真ん中で、まるで二人の人間が無理やり合体しているかのような……。
僕は恐怖で頭が支配されそうになった。
その瞬間、部屋のチャイムが鳴った。
インターホンのモニターを見ると、隣の202号室の住人が立っている。
怯えきった表情でガクガクと震えている。
画面越しに隣人が言った。
「あの……すみません。今、部屋の壁に穴を開けたら、中に変なものがいて、、、、、怖くてだれたに聞いてほしくて。」
隣人もあの隙間に気づいて穴を開けたのだ。
そして、ぼくのスマホには、今もあの顔が写っている。でも隣人のスマホにも写っている。


























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