目が覚めると、控え室の空気が私を歓迎しているようだった。
いつものメイク担当が化粧道具を広げ、私という作品をどう仕上げるか悩んでいる。
鏡を見ると、純白のインナー。背中が大胆に開いている。
ああ、そうだ。今日は私の結婚式。
世界が私を祝福する日。
少し頭がふらつく。昨夜はホストクラブで前祝いをしていた。
ドンペリをいくつ開けたか覚えていないけれど、まあいい。
「社長はいないの?」
そう言うと、メイク担当は苦笑いした。
「結婚相手なのに社長と呼ばなくてもよくて?」
「でも私にとってはその方が馴染みあるし」
社長婦人。
その響きだけで、自然と笑みがこぼれる。
メイク担当は丁寧に筆を動かしながら言った。
「今日で最後のお仕事ですので、喜んで頂けると嬉しいのですが」
「いい感じだわ。あなたも去るの?」
その瞬間、彼女は目をそらした。
ああ、嫉妬ね。
私が幸せすぎて、直視できないのよ。可哀想に。
「貴女の上昇志向は本当に尊敬すべきことよ」
「ええ、当然よ。努力してきたもの」
私は軽く笑った。
数ある秘書候補にも入り複数の会社と事業を兼ねる敏腕レディとは私のことだ。
「グローバル・イノベーション・エバンジェリスト社のCEOに、デジタル・エグゼクティブ・フューチャー(株)のアーキテクトですわ」
「あと本社はなんでしたっけ。戦略なんとか……」
「戦略ストラテジー部門提督よ」
「あっそうでしたね。ドレス、とてもゴージャスね」
「当然よ。私が着るんだから」
世界的デザイナーに作らせた特注品。
サファイア、ルビー、ダイヤモンド。
私の美しさを飾るにふさわしい宝石たち。

























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