大阪市に隣接する某市での出来事である。
その街に住む人なら誰もが知っている、少し異様な光景があった。
街の一角に広い土地を所有する地主がおり、その人物が経営するアパートや駐車場の縁石、塀、柵には、なぜか一面に黄色いペンキが塗られていた。
近くには小さな川が流れている。
そこには地主の名前が記された私設の橋が架けられていたが、その橋までもが黄色く塗られていた。
初めて訪れた人は、その光景に違和感を覚えるという。
ある日の夕方。
近所の人が、一人の中年女性が歩いている姿を見かけた。
女性はうつむきながら、何度も同じ言葉を繰り返していた。
「朱に交われば赤くなる……朱に交われば赤くなる……」
数日後、その地主が経営するアパートの前で殺害された。
何者かに頭部を鈍器で殴られたらしい。
黄色いペンキで塗られた地面には血が飛び散り、その部分だけが朱色に染まっていた。
警察は防犯カメラの映像を回収し、捜査を開始した。
だが、その捜査中に新たな出来事が起こる。
地主の私設橋の近くにある踏切で、飛び込み自殺が発生したのだ。
その踏切は以前から自殺が多発する場所として知られ、脇には供養のための地蔵が祀られていた。
亡くなったのは中年女性だった。
防犯カメラの解析により、その女性こそ地主殺害の犯人であることが判明した。
列車と衝突した女性の血液は周囲に飛び散った。
そして、線路沿いに建つアパートの前まで達していたという。
地主の血で朱色に染まっていた黄色い地面は、さらに女性の血を浴びて、より濃い赤色へと変わっていた。
後に近隣住民の間で、こんな噂が広まった。
あの女性が呟いていた言葉は、自分自身の末路を語っていたのではないか。
黄色に囲まれて暮らしていた地主は朱に染まり、
その地主を殺した女性は赤に染まった。
そして今でも、黄色い橋のたもとに立つ地蔵だけが、その一部始終を見続けているのだという























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