親族年寄りたちの団欒の中、弟である俺の杯にも、日本酒が絶え間なく注がれた。
───今日は宿泊確定か。
想像通り、俺には豪華な部屋が与えられた。兄貴は奥さんと離れで二人きりだそうだ。
ああ、初夜か。二回目だけど、と俺はゲスな考えをしながら眠りについた。
次の日の帰り際、奥さんの顔色が悪かった。二日酔いか?明らかにぐったりとしている。
いや、兄貴が張り切りすぎたのか・・・
一応持ってきていた胃薬や酔い止めの薬を渡し、3人で俺の軽に乗り込む。
親族の老婦人が頭を下げて、見送ってくれた。
けど、不思議な挨拶をされたのが気になった。
「おつたい様をよろしくお願いします」
この家特有のの挨拶か何かだろうかと、その時俺は思ってたんだよ。
それからしばらくして、ギャンブルの負けが続いたんで、
兄貴にちょっとお金を借りよう、と連絡したら、あの集落の近くの喫茶店に呼ばれた。
数万円をもらって、とある相談をされたんだ。
奥さんが妊娠したらしい、おそらく、あの初夜の時だそうだ。
おめでとう、というと、兄貴は少し悩んだ顔をして語り始めた。
妻の実家は「おつたいさま」という土着の神さまを代々信仰していて、
あの結婚式の水あわせの儀式はその一族に取り込む儀式も兼ねているようだと。
唐突な話に、俺は変な壺でも買わされたのか、と茶化すと、兄貴は首を振った。
「あんな田舎暮らしなのに、全員やけに裕福だっただろ。
あの辺の大地主の家系ってだけじゃ説明がつかないくらい。
それをあの人たちは、おつたいさまの恩恵だと信じている、嫁さんもな。」
「生まれてくるのは、おつたいさまの祝福を受けた子、だってさ」
何とも言えず、黙っていると「おまえも、もうその一族って扱いなんだぜ」
と言われた。実感は全く湧かないが、気味が悪かった。
兄貴は話を続ける。
「おつたいさま、ていうのは水の神様らしい、この地域の治水を司ってて、
昔から信仰されてたんだそうだ。
───俺なりに調べてみたんだが、戦後、このあたりでも狂犬病対策の一環で、
山や林に生息していた野良犬たちが執拗に殺処分された。























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