アレ?
気づいたら俺は男の指をちぎってしゃぶっていた。ずっとハンドルを握っていたからか、汗の塩味が心地いい。
「でもやっぱり俺は指よりも手の甲の皮が一番好き。わかる人いると思うけどあそこだけちょっとコリコリしてんだよ。ここを無視する奴はモグリだよ。指先のような繊細さはないが、皮のすぐ下に中手骨が透けて見えるあの薄さがいい。指でなぞると、腱が琴の弦みたいに弾けるだろう? あの独特のコリコリとした感触。前歯で慎重にこそげとる時、薄い皮膚が弾けて、その下の未発達な筋肉が微かに抵抗する。あの食感は、一生を労働に捧げた男の拳よりも、何不自由なく育った女の、手入れされた甲の方がずっと瑞々しくて、それでいて強情な弾力がある。こんなおじさんじゃ不完全燃焼。
次に、俺が偏愛してやまないのが頸部、耳の下から鎖骨にかけてのラインだ。
ここは人間の『生命の通り道』だからな。胸鎖乳突筋のキワにナイフの先を滑り込ませる時の、あの吸い付くような抵抗感。まるで上質な絹に刃を立てるような背徳感がある。ここは驚かせちゃいけない。リラックスしている時の肉は驚くほど甘いが、恐怖で硬直した瞬間、乳酸が回って一気に鉄臭くなる。最高なのは、寝入った瞬間の、まだ温かい皮膚だ。舌の上で転がすと、微かな産毛が喉を撫で、血の温もりを湛えた脂肪が淡雪のように溶けていく。
それから、意外と見落とされがちなのが土踏まずのアーチ。
みんな太ももや尻の大きな肉を欲しがるが、あれは大味だ。土踏まずの肉には、その人間が一生をかけて地面を蹴り続けてきた『蓄積』がある。強靭な腱が幾重にも重なり、奥歯を立てた瞬間にザクッ、と小気味よい音が脳まで響く。それはもう、噛めば噛むほどに凝縮された鉄分と、野性味のある滋味が溢れ出してくる。まるで熟成されたジビエの乾肉を噛んでいるような、濃厚な悦びがそこにはある。ちなみに口合わせとしては唇がいいと思う。硬いと柔らかいの二重奏、最高だよなあれ。
最後は、わき腹から腰骨にかけての、あの柔らかい窪みだ。
ここの脂は他の部位とは格が違う。融点が異常に低いんだ。指先で触れるだけで、体温でじゅわっと溶け出す。火を通すなんて野蛮な真似はしない。生のまま、薄く削いで口に運ぶ。すると、質の悪いバターのような、それでいて花の蜜のような倒錯した香りが鼻を抜けていく。
素人はよく適当なことをいうただ!「若い女の肉がいい」これだけは正しい、最初に言ったやつは仲間だ。でも俺はこんなおじさんでもおいしく食べるよ、お前らも牛肉なら全部好きだろ。あと、よく調子乗って喉仏がうまいっていう奴いるけど、そいつは通ぶったただの素人、正直俺は喉仏好きじゃない、硬すぎる、仏もいねぇよ?まぁまとめると………………………………………………………………………………………………………………………………………オ?………………………………………………………….ン?……………….アレー?アレーレ?アレーェ!ナーーンデユビタベテんだろ!ビックリぃィいィィィ!オドロイチャッタァ!ユビ旨!サイコウダワ!トマンネェヨこれェ!」
この話は半分実話で半分フィクションです。綺麗な指の人ってやっぱいいよね。毛が無くて透明感ある白がいい。























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