そんなパニック状態になった施設の中で、突然レーダーが沈黙した。
レーダーだけではない。通信機も、電気も、一斉に停止し、監視所内は真っ暗になってしまった。非常用電源すら入らない。
この異変に監視所指令は頭を押さえながらも、すぐさま建物の外へ出て、自分の目で状況を確認をしてみた。
空を見上げると、上空はるか彼方に、1等星のように美しく輝く星がひとつあった。
だが、それが星ではないことはすぐに判った。
時々音もなくフラッシュのように輝き、こちらに向けてスポットライトのような光を浴びせているのだ。その光に撫でられた場所から地上の光がどんどん奪われていき、暗闇だけが広がっていく。
この状況をとにかく早く本部に報告せねばと感じた指令がクルマを走らせようとするも、クルマのエンジンさえかからない。まさにお手上げ状態。
「どうすれば・・・」そう思った瞬間、激しい爆音と共に周囲が炎につつまれた。
01:50、最初の爆発が起きた。
ベネズエラ沖にいた世界最大の空母、ジェラルド・R・フォードの電磁カタパルトから発進した第142電子攻撃飛行隊、通称グレイ・ウルブス所属のEA-18Gグラウラー電子戦機が、ベネズエラのレーダー網をジャミング。それを皮切りに、米軍による空爆が開始されたのだ。
プエルトリコにあるルーズベルト・ローズ海軍基地から出撃したF35Aステルス統合打撃戦闘機群によるピンポイント爆撃が、対空ミサイル陣地、空軍基地、空港滑走路などを破壊する。ベネズエラ軍は一瞬の間に目も耳もふさがれ対空ミサイルの一発も、戦闘機の1機すらもあげられず、迎撃システムは完全に沈黙した。
その後さらに攻撃は本格化し、空母艦載のF/A18、制空戦闘機のF22、果てはB-1爆撃機までがこの侵攻に参加し、無人機を含む150機以上の航空戦力が深夜のベネズエラ上空を飛び回った。
ラ・グライア港とシモン・ボリバル国際空港は第22海兵遠征部隊によって占拠された。
米陸軍特殊部隊の精鋭デルタフォースは、第160特殊作戦航空連隊(ナイトストーカーズ)のチヌークとブラックホークに分乗し、今作戦の本丸である『パラシオ・デ・ミラフローレス(ミラフローレス宮殿)』を強襲した。
上空2万メートルにとどまっていた謎の星からも宮殿に向けて例の光が照射される。宮殿内に立てこもっていたロシア系傭兵部隊(ワグネルの残党)や、キューバから派遣されていた守備隊はことごとく戦闘不能に陥り、宮殿内に突入したデルタフォースはこれを易々と排除した。
突入部隊によって発見されたマドゥロ大統領とその妻フローレスはその場で緊急逮捕。
03:29、確保された二人は強襲揚陸艦「イオージマ」に連行された。
04:30、トランプ大統領がマドゥロ大統領拘束を発表し、世界に衝撃が走った。
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時を3か月ほど前に戻そう。
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UFOとキャトルミューティレーション専門のオカルト雑誌
「月刊モー」編集部に、朽屋(クチヤ)瑠子(ルコ)という
フリーの事件記者が出入りしている。
女だてらにめっぽうオカルトに強く、日本中を飛び回っては、
今日も不思議な事件を追いかける。
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その日朽屋は、後輩の九郎丸レンと共に読者アンケートハガキの仕分け作業をしていた。
「ねぇ~・・・こんなアンケートとか、意味あるの?・・・普通の牛とA5ランクの牛、どちらがUFOにさらわれやすいと思いますか?・・・だって。どっちでもいいんじゃーーー!!」
怒りに目が赤くなる朽屋。
























Manaです。自分で書いてて一番楽しい、朽屋瑠子シリーズ。今回は今年初めに大事件の起こったベネズエラを舞台に、朽屋の活躍を描いたものなります。少年と絡むことで、オネショタ好きな界隈には受けたかもしれないですね。途中から登場のミゲル隊長は自分の中ではランバ・ラルのイメージです。
ところで、自分的に一番ショックだったのが、これを書いてる最中にアメリカがイランを攻撃しちやって大変なことに・・・せっかく最新の戦場を描こうとしたのに、もう古くなってしまいました。
現実の方が物語より早いし、そんなシナリオ描けません。
まさかトランプさん、エプスタインとかから目をそらしたくてこんなことしてんじゃないでしょうね~なんて思ったり。
一応物語はフィクションということで、お楽しみいただければと思います。
・・・それでは、チャオ。