「第三者による犯行の線は薄いんですか?」
「足跡もマル害以外確認できませんでしたし、何より外傷が見当たらんでね。それにここは、あの事件以来閉鎖されとるんで、可能性としては低いでしょうな。巷では心霊スポットとして有名みたいですが。マル害も肝試しが目的でここへ来たようです。」
宮崎はそう言うと、力なく首を振った。
松岡は事前に部長から心霊云々と聞いていたが、記録的にもこの場所では自殺者は1人としていない筈である。
1つの違和感を覚えた。
「心霊スポット、ですか。マル害は何と供述して?」
「霊が現れて祟られた、と言いよるんですわ。ここで自殺した、尾久根事件の関係者がね。確かに、事件後は社長含む3名の社員が自殺しているんで曰く付きっちゃあ曰く付きですがね、さすがに幽霊は逮捕できないでしょう。」
宮崎は鼻で笑いながらそう言うと、言葉を続ける。
「ま、とりあえずはマル害に直接会った方が早いと思いますんでね、行きましょうか」
宮崎にそう促され、入院先の病院へ向かった。
病室に着くと1人の青年がベッドに座りぼうっと窓の外を眺めていた。
松岡達の存在に気づいていないのか、視線は変わらない。
宮崎は怪訝な表情を浮かべている。
構わずに、松岡はつかつかと青年に元へ向かっていった。
「警視庁の松岡です。今回の件で話を聞きたいんだけど、具合はどうかな?」
青年は、あ、ええ、悪くないです、と短く返事をすると、再び窓の外へ顔を向けた。
松岡は丸椅子に腰掛け、笑顔を作り再び問いかける。
「名前を、聞いてもいいかな」
「宮田です。宮田悠介といいます。」
「宮田君だね。今回の事件の事、何があったのか教えてくれるかな。君が話してくれた事は、全て信用するよ。勿論他言はしないし絶対に疑わないから、起きた事、感じた事、全て話してくれないか。」
悠介は俯くと、真っ直ぐ松岡の目を見つめた。
「ーーー本当に、信用してくれますか。」
「ああ、信じるよ。正直言うとね、俺も何が何だか訳が分からないんだ。はっきり言うと、君は俺にとって重要参考人なんだ。だから、教えてくれないか。今回の事件は、俺にとっても重要なんだ。頼むよ。」
松岡も、悠介の目を真っ直ぐ見つめ返し頭を下げると、悠介は躊躇しながら口を開いた。
「ーーー幽霊は、信じますか。」
「ああ、その類の話はよく聞くが、残念ながら俺は見た事がなくてね。存在自体の肯定はできないけれど、君の話は信用するよ。だけど、事件当日に君はそれを見たのかい?」
悠介はこくりと頷いた。
「どんな幽霊だった?どんな状況だったのか、詳しく教えて。」
「最初は、友達が工場の中に行こうって言ったんです。でも俺はビビったから、ここで待ってる、って言おうとしたら、急に友達が倒れて、痙攣して、それでーーー」



























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