親友だった君へ。
ねえ、覚えているかな。僕たちが初めて会った、あの晴れた日のことを。
君は明るくて、クラスの人気者で、僕にとっても自慢の親友だった。
でも時々、君は少しだけおかしな遊びをしていた。道端で動けなくなっている蝉を、笑いながら何度も踏み潰したり。
泣いている下級生を、ゴミを見るような冷たい目で見下ろしたり。
「なんでそんなことするの?」って聞いても、君は「え、何が?」って、本当に不思議そうな顔をするんだ。
でも僕はそれが君だと受け入れてしまった。一緒にいれるからいいかと考えることを放棄していたんだ。
高校に進んで、僕たちの関係はあっけなく崩れたね。
君が始めた「いじめ」という名の暇つぶし。
昨日の親友は、今日の獲物。
僕は君たちの顔色を伺い、震えながら過ごすだけの日々に変わってしまった。
あの日、君たちは僕をあの寺に呼び出した。
地元じゃ有名な、願いがよく叶うという古寺。
でも、夜には「何か」が出るから決して近づいてはいけないと言われている場所。
「一番奥の堂まで行って、お札を剥がしてこいよ」
「行かないなら、明日からどうなるか分かってるよね?」
君は笑っていた。昔と変わらない、邪気のない笑顔で。
僕は本当に怖くて怖くて震えながら、街灯ひとつない参道を奥へ、奥へと進んだ。
湿った空気。鼻をつく古い油のような臭い。
奥の堂に着いた瞬間、あたりが異常な空気に包まれたのを覚えてる。
あまりの恐怖に振り返ると、遠くの門のところに、君たちがスマホのライトを照らして笑っているのが見えた。
でも、次の瞬間。君たちの笑い声が止まった。
スマホのライトが、激しく揺れて遠ざかっていく。
君たちは気づいたんだよね。
僕が大量の手に引き込まれ、首が伸び、足が逆に曲がり、腕が日ちぎられている光景に。
「ひっ、……うわああああ!」
君たちの叫び声が聞こえた。
僕を見捨てて、自分たちだけ助かろうと必死に走る足音。必死に必死に必死に逃げて、途中躓いて転んで、助けてと何とか声を出した僕には構わず。
いいや。もういいんだ。
あの寺の奥で、僕は「それ」になった。

























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