誰が書いたのか、誰がここに置いたのか、何が書いてあるのか
正直、この場から逃げ出したかった
あまりにも異常すぎる
だが、ここで逃げては何も変わらない気がした
ここで逃げて俺のアパートに帰ったら、それで解決になるかわからない
アパートに帰っても悪夢を見るようになったら完全に詰みだ
ここでケリをつけなくては
俺は震える手でその手紙を取り、中身を見てみた
母親からの手紙だった
内容はあまりにもとんでもないものだった
「これを貴方が読んでいる時、私は貴方の前からいなくなっていることと思います。まずは突然何も言わずいなくなってしまったことを謝りたいと思います。本当にごめんなさい。
でも、これには理由があるんです。言いたくはないのだけど、お父さんがおかしくなってしまったの。ううん。もうあれをお父さんとは呼べない。あれは化け物です。普段はいつも通りです。でも、突然何の前ぶりもなく狂暴になり私に暴力を振うのです。誰かに話したら殺すともいわれています。本当は貴方に真相を話したかったのだけど、連絡手段も奪われて、こうやって貴方の部屋に手紙を残すことしかできませんでした。これからどうにかして、この家から脱出するつもりです。うまくいくかわからないけど。この手紙が貴方に届くのを祈ります」
にわかに信じがたいことだった
そんなことが起きていたなんて
だが、この字は間違いなく母さんの字だ
母さんは真面目な人だった
ふざけてこんなことをする人ではない
ならばこれは本当なのか
俺がずっと悪夢を見ていたのは、母さんが必死の思いで残した手紙の影響を受けていたからなのか
俺はすぐに家から飛び出した
幸い父親は出かけていた
アパートの住所は父親に知られているから引っ越しもした
今は別の場所に住んでいる
その間、父親が乗り込んでこないかと心配だったが、それはなかった
夢もそれから見なくなった
やはりあの手紙のせいだったのか
いや、おかげといった方がいいのかもしれない
父親の異常性を教えてくれたのだ
あのまま悪夢を見なければ、もっと悲惨なことが起きていたかもしれない

























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