「PEACEは、便利だろ?」
男はそう言って、かすれた声で続けた。
「……俺が作った」
心臓が、わずかに跳ねた。
その瞬間、視界の端に赤い文字が浮かぶ。
警告:この人物との会話は非効率です
推奨行動:即時離脱
「私は……作ってはいけないものを作ってしまった」
男は、私ではなく、
私の“内側”を見ているようだった。
「次のアップデートがあるだろ。
あれは“言論統制”だ」
「考えることは許される。
でも、口に出すことは許されなくなる」
「怖いんだ……」
エラー:感情的影響を検出
会話を終了してください
頭の奥が、じんと熱くなった。
気づけば、私は男に背を向けて歩き出していた。
止まろうとしても、足が止まらなかった。
振り返った時、
男の姿はもうなかった。
⸻
私は次の予防接種を、受けなかった。
理由は分からない。
ただ、受けてはいけない気がした。
予防接種予定日の数週間後、異変ははっきりと現れた。
街を歩くと、視線を感じる。
すれ違う人々が、一瞬だけこちらを見る。
コンビニで支払いができない。
スーパーでは、レジがエラーを起こす。
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