ドアが開き、私は荷物を背負って乗り込みました。
車内には数人の乗客がいました。年配の男性が一人、新聞を読んでいます。
少し離れた席には、制服姿の女子学生がイヤホンを耳に当てて窓の外を見ていました。
最後尾には、スーツを着た中年の女性が眠っているようだったのです。
運転席の近くには、帽子をかぶった運転手が背を向けて座っていました。
しかし、
中央のシートに座る一人の乗客が、私の目を引きました。
その人物は、古びた着物を着た老婆で、顔が異様に青白く、
目は虚ろで焦点が合っていません。
彼女の手は膝の上で動かず、まるで人形のようでした。
明らかに生きた人間ではない――
その確信が、冷たい汗とともに背筋を這い上がったのです。
電車は静かに動き出しました。
窓の外には、田んぼと遠くの山々が広がり、
夕陽が赤く染めていたのです。
私はシートに座り、老婆から目を逸らし、ぼんやりと景色を眺めました。
だが、彼女の存在が気になって仕方ありません。
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