外へ飛び出す直前。
ミシィッ!バキィッ!
一瞬、玄関の方を振り返る。
壊れたドアの向こうで、影は中に入ろうとする姿勢のまま止まっていた。
手はこちらへ伸びたまま⸻。
慌てて車に飛び乗り、その場を後にした。
⸻⸻⸻
それからはとにかく逃げ続けた。
影はいつも少し離れた場所にいた。
交差点の向こう。
川の対岸。
踏切の向こう側。
手をこちらに伸ばしたまま微動だにしないその姿を見るたびに、おぞましさが増す。
それでも確実に近づいてきている。
⸻⸻⸻
日が沈みかけた頃、給油のためセルフのガソリンスタンドに立ち寄った。
思えば朝からずっと逃げていて息をつく暇もなかった。
ほんのひと時だけでも気晴らしがしたいと思い車外へ出る。
まだ影の姿は見えない。
「……ねぇ。いつまで続くのかな…。もう私、こんなの耐えられないよ…。」
自然と涙が溢れてくる。
彼は答えなかった。
給油を終えると、再び車を走らせた。
⸻⸻⸻
日が完全に沈んだ頃、影がまた現れた。
ちょうど信号が赤になり停車したタイミング。
今度は近かった。
道路脇の電柱の下。
数十メートルも離れていない距離。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 4票



























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。