相変わらず動かない。
「……なぁ。」
「……なに?」
「アイツさ、動いてないよな?」
「……うん。」
「でもさ……。」
彼は一度言葉を切った。
「……俺たちが”見ていない時”に動いてるんじゃないか?」
バイトの帰り。
玄関。
交差点。
踏切。
思い返すと動いているところを見た記憶がない。
「……じゃあ、見続けてれば……。」
「それが出来りゃ苦労しねぇよ。」
そう言った直後、信号が青に変わる。
彼が前を向いた、その瞬間。
「……っ!」
影がまた近づいていた。
⸻⸻⸻
夜が深くなるにつれ、影との距離はさらに縮まった。
もう時間の問題だ。
けれど解決策は全く思い浮かばない。
あれこれ考えている間に事態が急変した。
キィーーーッ!
車が急停車した。
シートベルトをしていたので投げ出されはしなかったものの、前屈みになった。
顔を上げるとフロントガラスの向こうに⸻影。
もう目の前だ。
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